漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

整理整頓は無理

■訪問先で話していて、自分の小学生時代を思い出した。

■前にも書いたかもしれないが、通っていた小学校はノートを使わなかった。かわりに二穴ファイルが渡されて、ルーズリーフにような用紙に板書を写していた。それを授業で使ったプリントと一緒に綴じるのだが、相馬少年はこの作業が大の苦手だった。机のなかにはルーズリーフやプリントがぎゅうぎゅうに押し込まれ、長期休みのたびに家へ持って帰るが、学校でやらないものを家でするわけもなく、最終日に親に怒られながら泣く泣く綴じるのが恒例行事だった。3学期×6年間で18回もおなじことを繰り返していたことになる。よほど苦手だったんだろう。

■ただ不思議なのは、毎回そんなに怒られながら、自分のなかに「どうして自分はこんなこともできないんだろう」といった考えがちりほども芽生えなかったことだ。どれだけ怒鳴られても泣いても懲りることなく、机のなかはぐちゃぐちゃなまま。よくわからないけど、先生や親が求める整理整頓は、できなくて当然とでも思っていたらしい。いわゆる「自尊感情」は、この件では全然傷つかなかったようで、振り返ると面白い。

■中学で初めてノートを使って、こんな便利なものがあるのかと思った。記憶では成績が上がったのは中学入学後なんだけど、二穴ファイルからノートに変わったことと無縁ではないように思う。小学校時代のあれじゃ、そもそも見返すことすらできない。

■なので、学ぶ側にストレスのない方法にしてやれば勉強はずいぶん楽に、たのしくなると思うのだけど、もうひとつの方、なぜいくら怒られても気にしなかったのかは継続して考察が必要そう。ちなみにいまでも整理整頓はできなくて、自分の部屋や車の後部座席がすぐ書類でぐちゃぐちゃになってしまう。もうこれは人間の出来方の問題で、努力でどうにかなるもんじゃないのだろう。そう考えると、いくら怒られても頑張らなかった小学生の俺はエライ。