漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

巻き込まれ力

■雨が降るんだか降らないんだか、蒸し蒸しして寝転がってても暑い。窓を開け放せば風は通るが、今度は隣が犬をしつける声が丸聞こえで落ち着かない。「残すな全部食え」って犬に言ってもなあ。というか犬が残すくらい餌をやるのはどうかなあ。ベランダの野菜ばかりが元気だ。

■録画していたETV特集「ひとのま ある一軒家に集う人々」を観る。富山県高岡市にあるコミュニティハウスで、一回300円で誰でも利用できる。不登校の子も職場を辞めてきた大人も、精神疾患の人も、その日の食べ物に困った人も、いろんな人がやって来る。主催者は「悩みを解決する気はない」とはっきり言う。人生はその人のもので、ハンドリングするのも当人だと。支援ではなく、横にいて一緒に考えるというのは漂流教室と似ていると思うし、あそこまでいろいろは受け入れられないなとも思う。少なくともお金は貸せないが、支援ではなく「知り合い」みたいなものなんだったら、貸してもおかしくないような気もする。

■「巻き込まれ力」という言葉を耳にする。相手とのあいだに一線を引かない。進んで巻き込まれて、一緒になってあれこれ悩んだり動いたりする。「自他の別」がなにより気になる俺にはとうていできないが、もしかすると巻き込まれるのが上手な人は、究極的には巻き込まれない人なのかもしれないと思った。最後には切り離せる自信があるから突っ込んでいけるのかも。「ひとのま」のようにできるか、「ひとのま」のようにしたいかはわからないが、自分のなかにある不安みたいなものは見えたような気がする。利己的になりきれないから、他人を遠ざけるのかもしれない。(7/3夕)