■中学に入ったあたりから夜、出歩くようになった。出歩くといっても山の近くの住宅街で、寝静まった町をただぶらぶら歩いた。ポケットにはトランジスタラジオ。なぜならラジオくらいしか深夜にやっているものはなかったから。夜中ずっと開いている店があるような時代でも地域でもなかったし、テレビもそんなに遅くまではやってなかった。夜は寝るためのものだったから、ひとりでふらふらしててもそんなに危険な目に遭うことはなかった。
■ということを、NHK「あさイチ!」を見て思い出した。特集は「緊急調査 子どもの夜間外出」。なるほど。大阪の事件もあった。確かに子供が夜中に出歩いていたら危険だろう。でも、それは、夜ずっと起きているような世の中だからだったりしないのかな。子供が夜にうろつけない町はどうなんだろう。最初しか見ていないので結論はわからないけども、子供や家庭を責める内容じゃなかったことを願う。
■ちょっと大げさだけど、夜の散歩は俺にとって「行きて帰りし物語」だったんじゃないかと思う。冒険だ。成長のツールだったんだよ、きっと。だからもう歩かない。深夜徘徊は楽しそうだなと思うけど。