漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

しゃかいさんか2総括

■「しゃかいさんか2」の感想を書いておきましょう。テーマに掲げた「あまり金にはならない(けどなんとかなる)働き方」は、わりと早くに答が出た。曰く、「今後、生活が安定することはない。不安定を前提にリスク回避を図れ」。

■たとえば石井志昂さんは自身の不安定要因を分析し、積極的に「溜め」をつくることでそれぞれに対処している。人間関係はもちろん「溜め」だし、支援団体や社会保障の知識も「溜め」、これまで不登校新聞の記者として培ってきた経験も「溜め」になる。実際、講演や対談は取材エピソードをふんだんに取り入れた、「溜め」の財産を駆使したものだった。

■太田稔さんは、収入源を複数持つマルチインカムという手法でリスクを回避している。人と人を積極的につなぐことで自分も多くの人と出会い、いくつもの異なる仕事を得る。ただ、この手法では収入を増やすためには労働時間を増やす以外なく、ひとり仕事から複数での仕事へ転身も考えている。それで現在、働きながら大学院でMBA取得に向け学ぶ。

■今回のゲストは「小さな組織の運営」という括りで選んだ。どうしてもそこを取り上げたかったのだが、なぜかは自分でもあまりピンと来てなかった。いま振り返るとわかる。個人の生活を考えることと小さな組織の運営を考えることは似ている、というかほとんど同じだからだ。不安定な部分を検証し対策を講じる。支出を減らし収入源を複数持つ。新たな展開のために投資するetc…。

■たとえば就職活動なんてそのまま営業でしょう。自分を売り込む。強みはなにか。なにができるか。「しゃかいさんか」シリーズはボランティアスタッフの研修も兼ねているのだけど、「就活」を目前にした彼らに、組織運営とつなげた個人の動き方を伝えたいという気持ちがあったんだろう、多分。本当は大きな組織も同じなのだが、おそらく個人企業やNPOを通して考える方が感覚が近い。太田じゃないが、たとえば個人のつながりを広げていくことがそのまま組織の営業にもなるので。

■小さな組織は不安定さがよく見える。それを前提に今後を決めていくしかない。その様子を知ることで、不安定な世の中を渡っていくヒントにならないかと思ったのでしたって、そんなこと企画段階でわかってないとね。とりあえず走り出してから考える性質なのがよくわかった。

■「もぐらの会」のブログにも感想が載っています。こちら→http://moguranokai.seesaa.net/article/416187712.html