■ボランティアスタッフの坂岡です。だいぶ夏らしい気候になってきましたね。
■最近読んで面白かったのが、池田清彦著『他人と深く関わらずに生きるには』(新潮文庫)。前回、「人付き合いが増えた」みたいな話をしていたのに、全然反対のタイトルの本を読んでますが(笑)いや、だからこそ、なんですよ。むしろ、「本当にすがすがしい人付き合いってなんだろう」と考えるヒントをたくさん与えてくれる本だと思います。
- 作者: 池田清彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/04/25
- メディア: 文庫
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■恋愛に関しては、こんな文章も。「惚れたのはあなたの勝手なのだから、相手を恨んではいけない。」「ここでも重要なのは、相手をコントロールしようとしないことである。互いに自由であり、いつ別れても文句を言わないという黙契の上で、今日もまた会えた、というのが、どんな場合でも他人と付き合う醍醐味なのだ。」
■しかし考えてみれば、人はなんと自分勝手な期待や相手への幻想を押し付けやすいことか。それは結局、「甘えている」ということだろう。「僕にとって都合のいいあなたでいてよ!」「そして、僕(わたし)を慰めたり、ほめたりしてくれよ!」ということだろう。じゃあ、甘えはよくないことでしょうか? たぶん、子供の時にそういう甘えが満たされなかった人に限って、大人になった時不自然な期待や妄想を相手に押し付けやすい人間になる気がする。子どもの時に、「理想のお母さん」がいなかったから、大きくなった時に相手を自分の「お母さん」に見立ててしまいたくなっちゃうのだろう。
■じゃあ、大人になるってことは、「甘えない」、ことなのか?それも違う気がします。家族とか、親友とか、パートナーとか、ある程度甘えを強く出せる関係も必要なのでしょう。しかし、その場合でも、やっぱり「上手に甘える」やり方を身に着けていることが大事な気がします。それは、「相手が許してくれる限りにおいて甘える」ということ。その範囲を見計らいつつ、甘えを加減しつつ出すことです。でも、この「相手が許してくれる塩梅」をどうおぼえるか?それには、甘えの対象となる相手が、きちんとした「自我境界」をもっていることが大事だと思います。つまり、「優しい」んだけど、自分にとってこれ以上負担だと感じたら、「ちゃんと冷たくできる」人。言い換えれば、「ちゃんと自分を持っている人」。こういう人が、細く長く友人でいてくれると、その人のソーシャルスキルは結構な勢いで上がる気がします。