漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

文化的再(差異)生産

■こんにちはー、ボランティアスタッフの関井です。

■今日は社会教育学のテストですっかり日誌の存在を忘れていました。大学生は今時期中間テストに追われているはずなのですが、教育学部のテストと言えばまぁ想像できないと思うんですが実際わたしも何が出るのか想像できないので結局あまり勉強せず、理学部や工学部のみなさんが辛くなっていらっしゃる中、テスト期間を実感できていません。形ない学問の恩恵を受けています。ありがたや。

■ちなみに今日のテストは、学歴に階層が大きな影響を及ぼす理由を論述せよ、というものでした。

■「教育」というワードが「学校」というワードとの結びつきを強くしたのは、近代以降だと言われます。学校での学びによってわたしたちは、世襲制の社会から、自身の努力から得られる学歴や教育達成によって社会的地位を手にすることもできる社会へと変容しました。これは学校文化がもたらした大きな産物です。

■しかし、このような社会の中でもなお、文化的再生産は終わりを見せません。出身階級は学歴、教育達成を生み出し、学歴や教育達成は到達階級へ少なからず影響を与えます。また、親の階層は子の学歴に、子の学歴は子の階層へ、と。教育は文化的再生産としての機能を果たし続けています。

■平等な教育とは何なのでしょうか。機会均等だけでは格差は止まりません。大学進学率が年々高くなる今、塾や予備校産業は歯止めを知らず、student loanはいつまでもscholarshipに成り代わろうとはしません。生活保護受給世帯の学生が大学に進学しようとする際には、世帯分離をしなければいけないという話も先日知りました。もちろん、階層がもたらすのは経済的要因だけではありません。教育に対する価値意識というのが、経済的要因よりもさらに大きくのしかかります。親の蔵書保有数と子どもの成績が関連性を持つというのも興味深いデータでした。

■「自身の努力で変えられる!」という言葉は、どこまで通用するんだろう。その言葉を言える人って、実はものすごく限られた人々なんじゃないだろうか。そんなことを思っていたら、字数制限800字がすぐ終わってしまいました。800字とか短いよー。こうして今日も答えが見出せないまま、単位は降ってくるんだろうなーと思います。ありがたや。