漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

「おっくう」について

■ボランティアスタッフの坂岡です。今日は最近考えてることについて書こうと思います。

■最近考えてるのは、「おっくう」という感覚についてです。僕は頻繁に「何をするのもおっくうだ」という感覚になりますが、一番こういう感覚が強まるのは大抵「何かをやる前」です。いったん始めてみると、「おっくう」な感じはかなり低減している。でも、やる前は腰が重い。

■もう一つ、「おっくう」状態になる時の共通点は、たいてい「家にいる時」に発動するということです。なぜなのか。たぶん、外にいる時は何かしら活動している時だからでしょう。「やってる」時はあんまりそうならないのです。

■人間の脳にはやる気を司る「側坐核」なる部分があるそうで、調べてみるとこれが「なるほど」と思うような仕組みになっています。側坐核は何らかの「作業」をすることによって働きます。(これを「作業興奮」という。)逆に、何も作業をしなければ側坐核は動かない。だから、一歩でも足を踏み出すと、側坐核が働き始めるので、「やる気」も発動し始める。そういう仕組みなのだそうです。どおりで、やる前が一番やる気にならないはずです。(だからといって最初の一歩目が「おっくう」なのは変わらないのですが。)

■ちなみに、「おっくう」は漢字で書くと「億劫」ですが、この語源も面白い。「劫」は時間の単位であり、100年に一度、岩山に舞い降りてくる天女が羽衣で岩山の表面をなで、その摩擦で岩山が消滅するまでの時間が「一劫」で、それを一億回繰り返すと「億劫」となります。「それほど途方もなく長い時間がかかると思えるくらいめんどくさく感じる」という意味だそうです。この言葉を考え付いた人は、どれだけめんどくさかったんだろうって感じですね。でも、0から最初の一歩目までの距離はそれくらいに感じるといっても過言ではありません。一歩目と二歩目の距離はほとんど感じられないのに、不思議なものです。