■障害、貧困など生活上の困難を抱える人たちの支援を釧路で行っている、地域生活支援ネットワークサロンの人たちが、全国でそうした支援を行っている人たちの活動に共通点が無いか探す試みから始まったこのまじくるも四回目。全国各地で面白い活動をしている人たちがやってくるようになり、今年は大阪の「暮らしづくりネットワーク北芝」の人たちが主催してくれた。ここは、被差別部落だった地域の暮らしの問題を解決することを仕事にしている団体で、会場の一つとなった箕面市立萱野中央人権文化センター「らいとぴあ21」の指定管理者でもある。
■「会場の一つ」と書いたのは、今回の会場が建物一つではなく、地域の中に全部で9か所も屋台を出す場所を作っていたからだ。中心となるのは「らいとぴあ」だが、町のおじちゃんおばちゃんがいつも使っている会館が何か所かあり、そこでも団体が屋台を出したりおじちゃんおばちゃんが食べ物を振る舞ってくれたりしていた。広さにすると北海道の中だと町内会一つくらいか。地域と連携、という言葉が実際に力を持って動いているのが良くわかる。
■今回のまじくるは、全国で活動している団体がそのやっていることを「商品」として話す屋台を出し、当日限定の地域通貨「まじくる」を払うことで、話を聞いて回ろうという企画だった。ちなみにこの地域通貨は、箕面の子供たちの間で流通している地域通貨「まーぶ」と後日兌換でき、そのレートはなんと「1まじくる=2.5まーぶ」。この「まーぶ」を持っていると、色々な行事に使えるので、子供たちがわんさかやってきて、目の色変えて集めに走っていた。基本は仕事したらあげることになっていたが、「くれくれ」の合唱になることも多かったが。
■漂流教室は不登校やひきこもりをスタート地点に、障害や貧困、若者の就労といった問題が射程に入ってきて、地域の社会資源と繋がりながら活動をしてきた、と活動を捉えることが出来る(かっこいいね)。で、今回はその実践を、内部の視点と外部の視点両方から話してもらうということで、ボランティアスタッフの小林くんと社会福祉法人あむの武田さんの二人に同行してもらった。お二人には感謝。
■漂流教室の話を聞きに来た人は、当地で子供への学習支援をしている人や、フリースクールに興味のある人など10人弱だった。話す合間を縫って、他の屋台をふらふらと見学していた。ソウルから来た韓国の人が出している「旅人喫茶」でチャイを飲んだり、ピースボートの人の話を聞いたり。北海道からは星園を運営しているコミュニティワーク研究実践センターが月形での実践を発表していたり、オオドオリ大学の人が来ていたり。もちろん、釧路のネットワークサロンの人たちもいた。その中に、昔漂流教室の研修を受けた人を見つけた時はびっくりした。
■ところで箕面市には外国の人たちが数多く住んでいて、国の数でいうと90を数えるくらいだという。今回、屋台の中には各国の料理を出してくれる人たちがいて、ベトナムの牛肉麺、お好み焼き、モロッコのクスクス、インドのカレーなどを堪能した。部落のソウルフードということで、すじ肉の煮凝りやさいぼし(馬肉の燻製)も食べられたし、本場のカスうどんや茶がゆもいただいた。やはり、食べるということは、こういうイベントには欠かせないな。
■ということで、今回のまじくる、名付け親の「つどい場さくらちゃん」をやっているまるちゃんが「今までで一番まじくっとる」と語っていたように、本当に楽しいものだった。来年は千葉で行われるということだ。ただ、一つ、そして毎回思っているのは、「どんな人の集まるどういう催しなのか」今一つピンとくる伝え方をしていないことだ。そうでないことがこの集まりの良いところであることは重々承知の上で、何か面白そうと感じる人以外に、どう伝えたらよいかを毎年これが近づくと考えるのだ。むーん。