漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

道徳には愛がない

■中学に道徳の教科書があったので読んでみる。子供の頃は道徳なんて退屈なだけだったけど、いま読むと案外いい。うっかり涙ぐんでしまったり。結局、道徳って大人のためのものなんだよ。

■大人が道徳を好きなのは後悔があるからだ。あのときもっと優しくしていれば。あのときもっと勇気を出していれば。普段は目をつぶっている傷に道徳は触れる。負い目を無視し続けるのは存外心苦しい。たまに外気にあてて気持ちを軽くしたい。

■だから、道徳教育を盛んに進める人は後悔が多い人なんだろう。人生はそれぞれのものだから、いくら後悔しても別段構わないが、自分の負い目を子供で晴らそうとするのは筋が違う。他人に頼らず自らで解決することをオススメする。

■内容について気になる点がないでもない。他人を大事にしようという項目があって、社会を大事にしようという項目があって、風土自然を大事にしようという項目があって、自分を大事にしようという項目がない。自分については、努力、研鑽、内省を求めるものばかりだ。しかし、能力努力の如何に関わらず、無二の存在だと自分を認め大事に思う気持ちがなくて、どうしてそれ以上を思えるだろう。

■もっと言えば、自分を思う前に、他人から「あなたが大事だ」と言われる経験が必要で、それをしない道徳とは愛のないものだなと思う。


■相談支援パートナーも始まり、余市の訪問も再開して、いよいよフル営業になってきた。だからか眠い。