漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

不足の事態

■まあ確かに「フリースクール支援」ではないわな。「使いようによっては学校外で学ぶのにいくらか足しになる」くらいだよね。

■でも俺はそう反発もしてなくて、それよりフリースクールへの公費支出は妥当、と文科副大臣は判断している”というふうにピックアップしたい。教育委員会との憲法89条*1を巡る話はもうこれで結論出た、ということにしちゃいたい。あとは制度設計と金額だ。

■そうなったとき、「フリースクールの平均月謝3万円台」という認識は実は困る。それは団体が人件費を削り、教材費を削り、言ってみれば教育レベルを犠牲にして出した価格だからだ。適正価格じゃないのです。数万の月謝は払うのに楽な金額ではない。それを知ってるからフリースクールも値段を上げられない。そういう状況下での「平均月謝3万円台」です。

■そんで更に困るのが、適正価格がいくらなのか試算したフリースクールは恐らくほとんどない、ということ。教育レベルを犠牲にしなかったら、推測だけど、どこも最低限今の倍の利用料が必要なはず。そもそも半分足りないと分かった金額設定で運営してるのは、経営センスがないと言うべきなのか、回す才覚があると言うべきなのか。ちなみに漂流教室なら、メンタルフレンドで月2万円がライン。利用料のみで、ちゃんと人も雇って団体を回してくつもりならね。

■いい加減フリースクールも「どんな活動を目指しており、そのためにいくらかかるのか」をはっきりさせよう。通所型、カリキュラムありの一般的なフリースクールなら、子供ひとりにつき、月7万とか8万とかかかるはずなんですよ。学校への補助がちょうどそれくらいの金額でしょ。経営努力は当然だけど、必要経費からはじいた額を出さないと、公費補助をもらっても財布が変わっただけで、経営は相変わらずということになる。それとも更に同額の月謝をとる?

■今はまだ「やってること」から追っかけた話なんだよな。こういうことをやってて、いくらかかっていて、払える額はいくらで、という。努力は認めるけど、それって今後も利用料だけで運営するつもり、と言ってるに等しい。「やりたいこと」を軸にした展開が要るのでは。大臣の認識不足はあるけど、フリースクールの説明不足をより強く感じました。


内閣府が発行元になって「子ども・若者支援」の事例集をつくるんだそうだ。モデル団体のひとつとして、今日、取材があった。相変わらずまとまらん話をしてしまい、反省。一体いつになったらピシッと活動を説明できるのか。こっちも不足。

■夜、ボランティアスタッフの三木さんが訪問の報告に来る。オセロを一戦。逆転負けを喫す。悔しい。くそー。呪われろ。いや、俺の実力不足だけどな。

*1:日本国憲法内89条)公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。