漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

速報値の話し

■暑いよ〜。訪問先でジャガイモを沢山もらったけれど、車の中でゆであがりそうだよ。

■今週からお盆ということで帰省してきている友人もいるが、日曜日に会ったくらいで特になし。夜にラーメン食べるのは腹に悪い。

■平成20年度の不登校児童生徒数(速報値)について。元データは文部科学省のサイトのここにある。簡単なまとめはこのブログの記事がうまくまとめてある。

■元データの12ページには、各都道府県別の不登校児童生徒数が載っている。この数字を見ると、全国どこでも必ず不登校児童生徒数は、中学校>小学校となっていて例外がない。小→中の倍率は最少で滋賀県の3.1倍、最大で愛媛県の7.3倍、平均で4.6倍。これは県だけでなく市町村レベルまで降りても同じ傾向だ。この数字を見た時に、ぼくは二つのことを考える。一つは全国津々浦々まで小学校から中学校へ進学した時に不登校になる子供が増えているということは、原因も全国どこでも観察可能な、小学校と中学校で変化する何かを仮定しないと、このデータの説明はつかないということ。もし、家庭のしつけや子供の性格といった個人レベルの話を原因とするなら、どこかに「成長した中学生だから不登校が小学校より減った」という事例が出てもおかしくないはずだ。

■もう一つは、全国どこでも学校というシステムから漏れる子がいるのだから、教育制度はそれを織り込んだものにならなければ、学習権が侵害されたままになるだろうということ。学校復帰を目指すのも結構だが、もう一方で学習権の保障について考えなければならない。そういう動きはどこへやらだ。

■最近どこぞの訪問先で見て、大笑いした中学校の学級通信の話し。トイレの便器の中にピンポン玉が浮いていたことがものすごい大問題であるかのようにとりあげられていた。A4版の通信裏面には、「こういうことをして楽しいのか」だの「出てきてきちんと反省してほしい」だのといった同級生の感想が列挙されている。多分、この「問題」について学級で話し合いなんかもしたのだろう。そして、そういうところでは、これを大きな生活上の問題として語ることしか許されない雰囲気の中で全員が反省を求められたのではなかろうか。不登校を生み出す原因というのは、こういう中学校特有のゆるみの無さというか全体主義的傾向にある気がしてならない。