漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

いとしのニーナ

■ニーナといえば新美南吉。ではなく。

いくえみ綾『いとしのニーナ』を読んでいたら、寝るために努力をするのが面倒くさい、みたいなセリフがあって、ははーんと思ったのだった。

■俺もそうだが、眠るのに苦労のない人は寝る努力をしない。すぐ眠れるから必要ないのではなく、してもしょうがないから"しない"。結果、眠れなくても構わない。正確には「眠るのに苦労しない」のではなく、「眠れなくても気にしない」のだ。

■交通障害で列車や飛行機が動かないと、係員にひどく怒鳴り散らす人がいる。あの感覚がよく分らない。怒って動くならいいが、いくら怒鳴ったところで動かないものは動かない。出来ることはぼんやり待ってることだけだ。まさか一生動かないということはない。

■睡眠もそれと似ている。自分の力で出来ることは寝間着に着替えて布団に入り、電気を消すまでだ。起きてる間は自分は自分の自由になるが、眠るというのはその反対に、自分が自分の自由にならない状態になることだ。自由にならないんだから頑張ったって仕方ない。そこから先はどこかの誰かに任せてしまって、自分はぼんやりしてればいい。まさか一生眠れないということはない。

■話は変わって、子供らと話していると、「なんか楽しいことない」と訊かれることがある(たまに大人でもいる)。これもまたよく分らない。そんなものあるわけないじゃないか。ひとりひとり違う人間な以上、「楽しさ」は全部オーダーメイドだ。求めるなら、とりあえず片っぱしからやるしかない。

■もうちょっとちゃんと説明すると、「楽しいこと」なんて存在しない。あるのは「楽しくなっちゃった」ということだけだ。いきなり楽しいこともあれば、最初は楽しくなくても続けてるうちに楽しくなってくることもある。だからとりあえず始めてみるしかないし、自分でするしか道はない。他人に頼むのは無茶ってもんだ。

■むしろ、他人から見たらつまんないことなのに、自分にはすごく楽しいというのが「楽しさ」の本道ですよ。他人任せじゃその人の「楽しさ」しか見つからないし、それは多分、自分にはつまらない。

■ということで、自力ではどうしようもない睡眠を頑張ったり、自分でどうにでも出来る「楽しいこと」を他人に頼ったり、あなた任せなものと自分次第なものと、取り違えてる人はきっと大変だろうな。以上、4/27の宿題でした。

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■曇りの肌寒い日で、こういう日もないと毎日暑くちゃたまらない。青年部は花見に出かけたらしいが、若いから、寒いとか何とかその辺はどうにかしただろう。

■元<と・ざ・ん>の渡邊さんが糸を紡ぐ道具を持ってやって来た。羊毛を細くひねってデカい独楽のような道具にひっかけ、くるくると回す。独楽の回転で毛が撚られ一本の糸になる。山田がすっかりはまってずっと回していた。「楽しくなっちゃった」んでしょう。写真を撮っておけばよかったな。また持ってきて。