漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

ネガティブ学習法

■晴れでさわやかな天気。ただし、車内は暑い。通信を作成してから、車の窓全開で訪問して回った。

■訪問先で英語の勉強をしていたら、話の流れでハングルの書き方と読み方を教えることになった。ぼくは中学一年の時にハングルを読み書きできるようにしたのだが(韓国語がわかるのではない。文字だけ)、どうして語学が好きになったのかには二つの理由がある。

■中学生になったばかりの山田少年は「英語が読めるようになれば、大好きな本が日本のだけでなく英語のも読めるんだ!」と向学心に燃えていた。だから、たくさん単語を覚えて読めるようになろうとがんばった。これが第一の理由だ。そんな模範的生徒な部分とは真逆に、山田少年は思春期の入り口で、憤懣やるかたない気持ちや罵詈雑言をどうにかして出したくなることが多々あった。でも、それがばれるのは恥ずかしくて嫌で、何とか自分だけにわかるような表現は無いものか考えていた。ある日、地理の教科書を見ていると韓国の街の写真に記号のようなへんてこりんな文字が書いてある。それを見た山田少年は「これだ!これなら誰にもわからずに悪口を堂々と書きまくれる」と思い、早速本屋でハングルの解説本を購入。一生懸命覚えては「ばか」だの「○○ぼけ」だのといった言葉をハングルで教科書に落書きして鬱憤を晴らしていたのだ。この、誰もわからない秘密の言葉を覚えて使う楽しさ、これが語学が好きになった第二の理由だ。なんというか、ネガティブな方を向いた学習意欲な気がする。

■しかし、こんなことで覚えたハングルに役に立つ日が来ようとは。いやあ、人生わからんものですな。学問することなんて自己満足に過ぎないみたいなことを言われる時がありますが、こんな風に自分の極個人的な欲求に従っても価値の出る時もあるというお話。