漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

面倒見てもらいました

花束

筋少の話をしたのは新歓レクリエーションではなかったろうか。

■石狩かめの会例会は新年度歓迎会。「漂着教室」の成功を祈っての花束を戴いた。どうもありがとうございます。子供たちの相手を頼まれて3年半通ったが、「漂着教室」も出来るし、子供たちも充分大きくなったしで、「漂流教室」としてはそろそろお役御免。いやいや、いろいろあったなと思いながら、もらった会報を読んでいたら、後書にこんな箇所が。

「子供達に相馬さんを委ね(というか一手に押し付け)」

あれ。俺が子供たちの相手をしてるんだと思ってたんだけど、逆だったか。子供が俺の相手をしてくれてたのか。まあ、同じようなもんだ。お互い様さ。楽しかったのは変わらない。

■その後、ボランティアスタッフの大畑くんを連れ、新しい訪問先へ顔合わせ。趣味が同じ2人なので、仲良くなるといいなと思っている。さらに訪問2件。トレーニング用のゴムチューブを取り上げられた。本当にそれで鍛えるんだろうな。


■名古屋の「アイ・メンタルスクール」という施設で、入寮中の男性が死亡するという事件が起きた。死因に不審な点があって、現在、警察が調査中だ。まだ明らかになってない点も多く、事件そのものは置いとくとして、気になったことがある。

■今朝、この事件を扱ったワイドショーを見た。番組ではこの施設を称して「ひきこもり更生施設」と言っていた。新聞にもそう書いてある。しかし、この施設のサイト*1を開くと、「お預かりしている主な子供達」の説明は次のように書かれている。

国際分類8類の中の、非社会性人格障害と、不安定性人格障害と、依存性人格障害、3類の子供達を私共は主にお預かりしております。

非社会性人格障害反社会性人格障害とも言われます。欲求不満に陥りやすく、たやすく暴力的になる傾向があります。責任感が乏しいこと、罪悪感を感じる能力がなく、外罰的です。社会と衝突した場合は、自己弁護の傾向が強いことも特徴的です。
不安定性人格障害:自分に自信が無く、人からどう思われるかを過度に気にして緊張が強く、批判や非難を恐れて生活範囲を制限するといった特徴があります。
依存性人格障害:意思決定が出来ず、依存している人の言いなりになり、一人で過ごす事が出来ず自立を求められると見捨てられたと思い込んでしまうといった特徴があります。

以上3類を主な生徒とし、その他5類、数名で寮生活を行っております。そしてここに預かる子供たちの親は、薬物療法を求めず精神療法を選択した方々に限ります。

書かれているのは人格障害についてで、「ひきこもり」という言葉はどこにもない。無論、それがもとで家から出られないということもあるだろう。だが、それなら「20代後半までに問題化し、6ヶ月以上、自宅にひきこもって社会参加しない状態が持続しており、ほかの精神障害がその第一の原因とは考えにくいもの」 という「社会的ひきこもり」の定義にはあたらない。では、病理、障害によるひきこもりか。だが、そんな説明はない。結局、ここで言う「ひきこもり」が何を指すのか曖昧なまま、番組は終わった。

■確かに、スクール案内には「不登校や引きこもりの若者を引き取り、更生させる施設として開設されました」とある。世間的には「ひきこもり更生施設」で通っているのかもしれない。だが、番組製作者は間違いなくこのサイトを見ているはずだ。見ていなければマスコミ失格だ。であれば、なぜこの点に全く触れないのか。新聞も同じだ。そこが俺には疑問だ。

■精神療法というが、医者でもないのにそんなことが出来るのかなど、不明な点もある。手法の是非も当然問われるだろう。それらを論ずるためにも、施設の対象が「人格障害の子供たち」だったのなら、そこは正確に伝えるのが筋じゃないか。スタート地点を曖昧にして、何の結論を出す気なのか。その曖昧さが、闇雲な「引き出し」ビジネスに繋がったりはしないのか。

*1:現在、閲覧出来ないようです(4/22)