漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

ディベートフレンド

■久しぶりの雪。久しぶりの寒い朝。起きたら、荒川静香が金メダルを獲ったとテレビが大騒ぎだった。訪問先で録画放送を観たが、なるほどこれはスゴイ。いや、たいしたもんだ。立派立派。もうひとつ印象に残ったのはスルツカヤの顔。闘う意志あふれたいい表情をしていた。長く世界のトップにいるということは、あーいう顔を持つということなんだろうな。競技が終わったということで、残るはエキシビション。好きなんだ、あれ。

■訪問先の子と、チョコは甘すぎるという話題で大激論。いや、今回は激論じゃないな。意見の一致を見たんだった。よく喋る子で、毎回なにかしら議論になる。先週は皇位継承についてだった。メンタルならぬディベートフレンド。帰る頃には喉が嗄れている。

■「漂流教室」は、何より先ず子供の話を聞く、ということを表に掲げてやっている。それが議論とは何だ、傾聴せいと言われるかもしれないが、ちょっと待った。議論と傾聴は一見正反対に見えるかもしれない。しかし、議論を戦わすためには、相手の言うことを正確に聞き、咀嚼しなくちゃならない。ここまでは傾聴の作業となんら変わりない。アウトプットの方法が違うだけだ。話を聞く、といってもカウンセラーとクライアントではない。子供に合わせて、場面に合わせて、多種多様な方法がとれるはずだ。論戦もひとつの手法じゃないか。もっとも、10代と30代では戦闘能力が違いすぎるから、多少の配慮やテクニックは必要だけれども。

■議論を交わす中で、今まで聞いたことのないエピソードが出てくることもある。傷めいた思い出が語られることもある。決して万人向きではないが、面白いやり方だと思う。意見を戦わせて気づくこともある。

■『100万回生きたねこ (講談社の創作絵本)』という絵本がある。紹介の必要もないくらい有名な絵本で、もちろん俺も読んだことがある。でも、なぜだかあまり好きじゃない。子供の頃から好きじゃなかった。佐野洋子の絵は好きなんだけどな。

■白猫が死んで、"ねこ"は初めて涙を流す。そして静かに死んで二度と生き返らない。そうですか、なるほどね。終わり。いやー、よく出来てるけどさー。あまり残るものがない。白猫が死んだ。とても悲しいのに"ねこ"から涙は流れなかった。こんなに悲しいのにダメだった。または、それでも"ねこ"は死ねなかった。悲しいまま、それからやっぱり100万回生きた。うん、こういう方が好みだ。そうか、ラストがダメだったのね、とこれはスタッフと話していて気づいたこと。

■帰り道はブラックアイスバーンでつるつる。明日は卒業するボランティアスタッフの送別会。明後日の13時からは「漂流しない教室」会議改め「漂着教室」会議です。場所はいつもの北海道市民活動促進センター。