漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

お見事

■埼玉県越谷市フリースクール「りんごの木」から30周年の記念誌が送られてきた。

k-largo.org

■A5横型で94ページフルカラー。きちんとデザインされていて、読みやすいし、見栄えもいい。20歳前後の元利用者を中心に作成したとのこと。

■一読して「いま」の本になっているとわかる。「いま」のりんごの木の様子。元利用者が「いま」語る当時の話。スタッフ座談会で一番しゃべっているのは4年前に入った新しいスタッフだ。保護者のページは、いま子供の不登校に悩む保護者へのハウツーとメッセージになっている。「不登校について考えよう」という特集的なページは、2020年度の不登校の現状をもとに話を進める。

■なにより驚いたのは30年記念誌なのに創設者である増田さんがほとんど現れないのだ。ああ、しっかり世代交代したんだなと思う。お見事。

■保護者のページなんかは、いろんな人に読んでほしいから、りんごの木にお願いして何冊か送ってもらおうかなー。

日本酒を飲みながら

■日本酒を飲みながら、酒蔵って面白い経営してるよなと思った。全国どこに行ってもあって、決して大きく無くても長く経営を続けている。儲かるからと別の土地に支店を作って拡大することは無い。そんなことをすれば、別の土地の酒になってしまうから。その土地を離れないこと、そこに合わせて作り続けることが価値になる。一昨年行った輪島の酒蔵なんかは、酒を作る量は少しなのにもうずっと続いていた。ちなみに輪島の酒は石狩厚田の道の駅で買えます。一旦土地を離れて酒を作っているといえば、旭川の男山酒造は元々京都のはずだ。

■で、これって自分の考える市民活動団体とか福祉団体の在り方と似ているんですよね。常々、どこの町でも個人経営の魚屋や八百屋があるように小規模な団体が存在すればいいと考えてきたのです。しかし、どうも周りを見渡すと一つの団体がどんどん拡大成長することを目指している。支店だ支部だと規模を広げて人を雇うようになっていく。世の中のニーズを拾い上げたいという思いは見えるのだけど、その拡大は働く人の幸せに繋がっているのか。

■まあ、いつまで経っても漂流教室みたいな組織は全国どこにも新たに立ち上がらないわけで、それはそれで失敗してるんだろ、とは思っているんですがね。でも、大きくなるばかりが大事なことでもなかろうと思うのです。(火曜日)

かける手

■3.11のあと、こんなことを書いた。

hyouryu.hatenablog.jp

■1月29日の日誌で、自分の子供時代を知る人がだんだん減って、自分のなかの「子供」も消えていくんだろうと書いた。一方で、突然、自分のなかの「子供」を終わらせざるを得ない子もいる。震災の報道で見た子らの子供時代をいつ、誰が語るのか。そう考えたら、学校だったりアルバムだったりといった、子供時代に戻れる装置の存在は大きいのかもしれない。

■だから学校には行った方がいいよという話ではもちろんないけど、いまのゲームや動画配信が子供時代のタグになるかどうかは、まだちょっとわからない。あまり子供向けにはつくられていないように感じるから。そして、自分の子供時代を覚えている人がいるという感覚のために、漂流教室は続けた方がいいんだろうな、とも。でも、これも難しくて、そんな人間がいる事実に耐えられないという時期だってきっとある。

■さらに、ここまで子供、子供と言い続けたけど、年齢は関係ない気もするしね。夜間中学に通うお年寄りだって、そこでの自分を覚えている人にいてほしかったりするんじゃないかな。

■ところで、俺はずいぶん手がかかる子だったらしい。それは「かける手があった」ということでもある。あちこちから子供時代の話をされるのはその裏返しだ。きっとかける手は多い方がいい。おそらくそこは間違いない。

高橋くんへ

■家探しは順調で、上手く行けば今春には引っ越せそうです。自分の部屋を持てるなんて何年ぶりだろう。本ばかり増えて床が抜けないといいけど。

■訪問先の子に「引っ越すんだよ~」「いい家見つかるかな~」と毎週ぼやいていたら、「そっか大変だね」とノールックで言われました。そういう距離感がたまに心地よかったりします。

■無限列車は来週乗車予定。多分観た後はしらばく煉獄さん・・・と呟いている思います。それから先週の高橋くんへ。私をなんだと思ってるんですか。ちょっとお話ししましょう。茂木より。