漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

遠い人に聞いてほしいが

■臨床教育学会のオンライン講座を聞き損ねた。すっかり忘れてたよ。ショック。

www.hokkaido-np.co.jp

■土曜日、岩見沢の親の会「gem」に招かれてシンポジウムに登壇した。道新に記事が出ていたが会員しか読めないし、そのうち消えてしまうだろうから、自分の発言の分だけ抜き書きする。

相馬さんは「子どもの意向は『学校に行きたくない』とシンプル。ここで課題となるのは、何とか学校に行かせようとする大人側」とし、「大人の考えに従わせようとすると、結果的に子どもを置き去りにしてしまうことになる」と説明した。その上で「焦らず、子どもを信じて待つことが大事」と強調。「不登校がいつまで続くのか分からない中で難しいことではあるが、子どもと関わり続けることをやめなければ、どこかのタイミングで再び学校に行くようになるなど動き出すことがある」と述べた。

参加者から子どもとの接し方について質問された相馬さんは「子どもが言葉に詰まらないよう、意図的にしゃべるスピードをゆっくりに。否定から入らず、『そうだね』という相づちをうつことから始めて」などとアドバイスした。

そういう話はしたが、そんなことは言ってない微妙な違和感。まあ、発した言葉をどう受け取るかは相手の自由だし、いいんだけどね。

■講演の軸は『奇跡の脳―脳科学者の脳が壊れたとき (新潮文庫)』という本。脳卒中で左脳の機能を失った脳科学者の8年間のリハビリを記した本で、巻末に「最も必要だった40のこと」というリストがある。これがそのまま不登校の対応につかえる。対老人、障碍者、子供にも当てはまる。

■どうも人は、相手を手助けしようとして、なぜか相手を置き去りにしてしまうらしい。自分の都合に相手を巻き込まない。相手の時間に沿って行動する。言うは易くおこなうは難し。そこで参考になるのが絵本や童話、映画などで、子供から見た世界、子供の体感時間、周囲の対応のヒントも描かれていたりする。不登校の専門書もいいが、絵本も読みましょうとおおよそそんな話をした。

不登校に関して言えば、記事にもあるが、子供の意向は至ってわかりやすい。「学校に行きたくない」とはっきり述べている。それを認めたくない大人の抵抗が「不登校問題」だが、そうなってしまう状況もわかる。なので、本当は不登校に関係のない人に聞いてほしい。フォーラム参加者は不登校の子がいる親御さんが多かったと思うが、子供も保護者もすでに手一杯だったりする。葛藤から遠い人の方が変わりやすいのは道理。まわりが緩めば、自然と中心も緩む。

■保護者に変われ変われと押しつけたように取られるのはイヤなので、最後にそこは強調したのだが、残念、記事にはなってなかった。なので、ここに書いておく。