漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

不要不急にするために

■先週の日曜だから4月12日の夕方に道立図書館から電話がかかってきた。取り寄せを頼んだ本が届いたという。そのすぐあと札幌市長と道知事の緊急共同宣言が出た。火曜から休校、外出自粛のお願い。ところで月曜は図書館の休館日だ。せっかく取り寄せたけど読めるのは5月6日以降かとがっかりしたが、それでもダメ元で火曜日に電話してみた。

「道立図書館は開けてますよ」

あれ? そうなの? 江別だから?

■それで早速、引き取りに行った。そんなに焦らなくても、水曜は仕事ですぐ近くまで行く。それでもその日に受け取ることにした。だって明日がどうなってるかなんてわからない。

■「不要不急の外出は控えて」と政府は言う。だが先の見えない状況は、あらゆる用事を「必要至急」に変える。不要不急が不要不急であるためには、明日も明後日も一週間、一ヶ月後の日常も、いまとさほど変わらないと思えなくてはならない。日常への信頼、または未来への油断があるからこそ先延ばしはできる。

■図書館へ車を飛ばしながら、この行動って買い占めとおなじだなと思った。今日の分があれば済むところを、先が見えないせいで明日の分も明後日の分も、一週間、一ヶ月後の分まで買い占める。

■我慢のきかない子がいる。ほしいとなったらなにがなんでもほしい。他人の都合などおかまいなし。ひどくわがままに見えるが、我慢を覚えるには先に「要求が叶った」経験が必要だし、「自分の望むものはいずれ手に入る」と信じられることが重要だ。常に注意される。脅される。ただただ努力を強いられる。存在がおびやかされているうちは、未来なんて不安定なものに自分を委ねられない。

■だからさ、不要不急の外出を防ぎたいなら安心を与えないとダメなんだよ、というお話。不安で人を縛るやり方は逆効果にしかならない。