漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

伸ばしたいから伸ばした

■さて、来月からフリースペースの利用料を無料にすることにしたわけだけど、ほんとすっきりした。確かに収入の心配はあるけれど、実にすっきりさわやかな心持ちです。さっそく会員になってくれた方もいて感謝感謝。

【利用しやすさ改革第一弾:フリースペース無料化!】
フリースペース漂着教室の利用料を7月から無料とする。賛助会員を増やし経費にあてる

  • まず賛助会員200人を目指しPR
  • 利用家庭にも賛助会員となり漂流教室の活動を応援してくれるようお願いする
  • 団体が部屋を使う場合はこれまでどおり寄付をお願いする

賛助会員40名で昨年度の漂着教室利用料をほぼカバーできます。200人で家賃、光熱費などの維持費をまかなえます

■そもそもフリースペースに利用料がかかるのにずっと違和感がありました。4年前に団体名を「訪問と居場所 漂流教室」に変え、「ただ、いる。ただ、ある」をモットーにしてからはよけいひどかった。「ただ、いる」のを大事にしているくせに「タダでいることができない」なんて悪い冗談みたいでしょう。さっさと無料にしたかったんだけど、先立つものが不安だ。じゃあ、賛助会員を増やして経営を安定させてから無料にしよう。そういう計画を毎年立てていたのですが、それもなんだか気に入らなくて、やらなかった。理念が賛助会員の数次第っておかしいじゃない。(まあ、上に書いたのを見ればわかるように、プランとして出すと別段違いはないんだけど、なんつーか気合いが違うんですよ)


六田登の『F』から。主人公の父親である赤木総一郎は、突如、自身が会長を務める巨大企業組織、赤木グループの移転をぶち上げる。場所は青森県六ケ所村。核燃料の再処理工場建設を進める国と真っ向から対立する。

■企業の根本目的である発展繁栄を無視している。なぜ国策に逆らってまで移転するのかと問われた赤木総一郎の答が上のコマ。生き物は自らの意志で生き方を模索し、変化する。あるものは首を伸ばし、あるものは鼻を伸ばした。企業もまた生き物であり、赤木グループという生き物は、企業が利潤を追求し巨大化する時代を終わりにしたいと考えた。目指すのは調和。「そうしたいからした」という生き方の問題として、移転するのだと。

■これを読んだのは高校生のときだったかな。心震えたわけですよ。キリンは首を伸ばしたかったから伸ばした。フリースペースを無料にしたかったから無料にした。あのときの震えはまだ残っていたみたい。