漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

失敗していた話その3

■茂木さんの「失敗していた話」というタイトルに、子供のころに読んだ小泉八雲の『約束をはたした話』を思い出した。こわくてさみしい話だった。

■で、俺も便乗して訪問で失敗した話を。何度か書いたり話したりしたけれど、漂流教室を始めて一番最初の訪問でしくじった。訪問を終え、車を運転していると電話が鳴った。訪問先の保護者からで、「子供がもう来てほしくないと言っているのでやめにしたい」と言われた。理由は茂木さんと同じ、距離感を誤った。なんとかこの場を盛り上げよう、楽しい時間を過ごして親しい関係になろうと勝手に意気込み、はずまぬ会話に焦って近くにあった人形をさわり逆鱗に触れた。

■焦らなくていい、無理に距離を縮めなくていい、相手のペースとプライドを守ってとことあるごとにボランティアスタッフに言うのは、初訪問で盛大にやらかしたからです。いまだに最短終了記録だと思う。この件はずいぶん俺を臆病にさせたけど、知らない人同士が会って関係を築くのは、きっとそれくらいがちょうどいい。あのときの俺は、関係をつくるのじゃなく、その子を侵略しただけだった。

■コミュニケーションの皮をかぶった侵略はあちこちであって、当時の俺はその見分けがついていなかった。いまだってすぐに間違うだろう。だから失敗談を伝えるのは大事なのです。失敗ミーティングをすべきだな。


■朝、背中にあたる陽の光に「あったかい」と思ってしまったので、もう秋。