漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

事業の打ち合わせよ

■午前中、説明訪問一件。その後、倶知安後志総合振興局にて、今年度の子ども健全育成支援事業についての打ち合わせ。今年度は岩内と島牧の方で行うことになった。遠隔地でどのような支援が可能であるか試すという意味合いがある。

■この事業は「学習支援」という言葉によって本質を見失いがちだ。この事業では貧困の連鎖を止めるために、学習支援による進学率向上を目指すということになっている。しかし、これが地域の情勢に適合して形式として成立するのは都市部でしかない。「高校に進学→大学or就職に結びつく→生活保護の連鎖脱却」という流れは、高校と地域の高等教育機関・就職先が成績によって結びついている都市部だから成り立つのだ。成績による高校序列化が起こっていて、順位が高い高校に進学できればより進学・就職への道があるという状況が「勉強していい成績を取ることには価値がある」という思い込みを生み出し、多くの人を縛っている。特に学校にとって、この思い込みはとても都合がいいのでこれを第一としている。

■しかし、貧困層の増加という現実によって、これが思い込みに過ぎないことが明るみに出てきたのが昨今の社会だ。この事業の重要な意義は「高校に進学→大学or就職に結びつく→生活保護の連鎖脱却」という連鎖の「→」部分に隠れている。高校に進学することや就職することがこの事業の目的ではない。毎日の生活を潤ったものにして生きようとすることが、進学・就職した後で生活することに必要なのだ。そして、その感覚をどのように子供たちに伝え、どう支えるかということがこの事業の目的である。それ故、地域によって支援方法が全く違ったものにしていくことが必要なのだ。今年度が終了したら、北海道全域でこの事業が展開する予定なので、その時にはこうした話をきちんとせねばならぬ。

余市に寄って札幌に戻り、夜焼肉。おーいしー。