漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

学校否定論の意義

■(今のあんな)学校になんか行く必要はない、という「学校否定論」のようなものがかつてあった。ここまではっきり言わなくても、強くそれを感じさせる言動する人が、漂流教室開設の準備をしてた頃は確かにいた。それがこの10年でめっきり聞かなくなった。

■「学校否定論」は強すぎる登校強制への一種のカウンターだった。だから、1992年の文部省の方針転向以降、否定してまで突っぱねる理由を失った。それだけ現実的になったわけだが、ちょっとどうかなという気持ちもある。

■極端な意見は思考の幅を広げるのに役立つ。学校の存在そのものを否定する意見に出会うと、改めて学校教育とは何かと考える必要に迫られる。そういうフリースクールがあれば、自分たちとの違いはどこか、共通点は何か考えざるを得ない。いわばカウンターにカウンターをあてることで、自分たちの立ち位置を知り、理念を明確にすることができたりする。

■先日、「教育制度論」という講義で話をしてきた。しかし、制度の存在自体を疑ってみた学生はどれだけいたんだろう。いないのは学生が悪いわけじゃない。「学校否定論」のような、前提を覆す議論が消えてってるのだから。極論は確かに現実的ではない。でも、思考実験には役立つのだ。なくなっちゃうのはどうかな。敢えて今、否定論を繰り広げてみるのもありなのかな。

■「学校って変だと思いませんか」という別のゲストスピーカーの言葉が、聴いてた学生の気持ちをいろんな方向に揺さぶったようなので。いや、わかんねーけどな。俺じゃ思いもつかない方法で思考の幅を広げてるのかもしれないし。

■さて、これも一種のカウンターか。11/9の北海道新聞にも載ったが、フリースクール、親の会など有志9団体が上田札幌市長へ政策提言書を手渡した。不登校対策の根本的な見直しと、「認定フリースクール」制度創立が柱。以下で提言への意見を募集しています。
http://www13.ocn.ne.jp/~fs_net/pg169.html
提言もpdfファイルでダウンロードできます。ぜひご覧いただきご意見、ご感想をお寄せ下さい。