漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

合同教研@琴似工業高校

特別支援教育が来年から本格的に行われるということで、今年の障害児・障害者の教育と福祉の討議は参加者が滅法多く、分科会を三つに分散させて行われた。ぼくが出たのは小中学校での特別支援教育について話し合うところ。

■今回のレポートには実践例が多く、すでにある程度の準備を学校が進めていることが伺えた。ただ、合同教研はいつもそうだが、札幌以外(それも僻地校が多い)の取組ばかりだ。一番対象児童生徒が多いはずの札幌での取組がどうなっているのかまったく見えないことは少々不安を抱かせる。

■何本かのレポートに共通していることは、自尊感情の獲得と子供の成長が連動していることだ。

・運動会のかけっこができるように先生と練習を重ね、本番で成功した高機能自閉症の子供が、それ以降学習においても対人関係においても劇的な成長を見せた例。
・多動の子が受容的な関わりの中で、ある日突然学校に来た時に授業準備をして先生を待っていたり、掃除を一人でするようになった例
・学校祭でのソーラン踊りを成功させた経験の後、自分に自信を持ち、集団活動にも参加できるようになっていった軽度発達障害の子供の例

など、が興味深かった。この自尊感情を取り戻す際に、非言語的・身体的活動が多いことは、漂流教室でも今後の活動を考える際に参考にしたい。

■また、こうした子供の成長を支える教師は、一人の子のパートナーになり、新たな体験への挑戦を支えるために様々な下準備・励まし・フォローを用意している。この後ろ盾を作ることこそが、教師の仕事なのだと思わされた。体験を通じた成長を促進するのに格好の機会である各種行事が学校にはある。学校の持つ力をしっかりと感じた。(この項つづく)