漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

子供みんなに「ごめんなさい」

■昨日は漂着教室のお向かいにある「アラ!あずましい会」主催の花火を見る会に出席。訪問先のお母さんと子供さんもやってきていて、きれいだねぇと盛り上がっていました。

■日が明けて蒸し蒸しなのは相変わらず。訪問二件。それにしても、火曜日にやった階段往復の後ずっとふくらはぎが痛い。何とかならんものか。

■漂着教室に入ってきた虫としては、木曜日にクマンバチがいたよ。撃墜させました。

■「だろう」とはずいぶんな。以下、先日からちょいと話題になっている、子どもの権利条例についての札幌市議会少子化対策・青少年育成調査特別委員会を傍聴した、北海道子どもセンターの土井さんが送ってくれた傍聴記です。誤字脱字と思われるところに関しては若干修正し、読みやすいよう整形してあります。

札幌市議会少子化対策・青少年育成調査特別委員会(第23回)

6月27日開催され、質問に立った議員は自民3、民主2、公明1、共産1、市民ネット1、市政改革1、市理事者側は未来局長、子ども育成部長、市教委指導部長など。

☆質問・討論の概要
自民党議員】
・委員に大学の先生が4人もいるのに校長やPTAの代表が入っていないのは?校長会や教頭会、市役所各局長などからの聞き取りが不十分である。

・権利条約の認知度の低い中で制定するのは問題、オリンピック市民アンケートとの関連で市民条例についても市民アンケートを実施しては?市民自治条例の回答数が14%と極めて低い中で70%が賛成といっているが。

・学校現場の協力がないと実効性をもたない。校長会やPTAの意見をどう聞くのか。校長会を仲間はずれにするのはいじめだ。

・専門委員会には学校関係者が当然入るべきだがどうか、

・子どもとのかかわりが密なのは教育委員会である。市教委は校長OBも含めて論議をふかめよ。退職者は現役時代抑えられていたのでホンネでものをいう。もっと真剣に論議させるべきだ。

・検討委員会での考え方は日本政府の消極性や格差社会などに言及しており反自民、市議会での共産党議員の発言と同じだ。共産党の発言をそのままのせたのか?

・休む権利、他人と比較されずにというような権利は子どもの権利としてかたられるようなものではなく、労働組合などが職場の待遇について使用者側と争ったりするときのテーマではないのか。検討委員会の方向性としては思想的な偏りがあるのでは。

川崎市の条例の丸のみだ。

・批准したのだからつくらなければならないといっているが、条約=条例ではない。国際連盟?連合でしたか、たぶん会議の場でそれに反対するのもおかしなもので、みんながいいこなんだからやるべという雰囲気の中で、日本もおつきあいで批准したということだと思う。ただ適応される当事者として日本が意識をもって批准したものではないとぼくは思います。あくまでも発展途上国、もしくは紛争地域の本当に子どもが虐待や劣悪な環境を強いられているという国に向けての条約であると考えているので、札幌市はそういう地域でないということをもう一度言いたい。

・虐待なんかしているような親は社会認識もなにも欠如している人が多いか、病的な人なわけで、条例があって社会認識が深まればそっちにひっぱられてそういうことをしなくなるというのは苦しい論議だ。

・最終答申を決定した委員会では25名の検討委員のうち5名が欠席している。私たちの調査によると一名は検討委員会の会議の進め方や思想的な方向性に強い拒否反応を起こしてしまった。条例をつくるのが前提で、つくるのかつくらないのかという論議はまるでなくてつくらなくてはならないというところからはじまって、その作り方も一方的で川崎の条例を丸呑みで作ろうとしている雰囲気があって出席するのがいやになったと聞いている。

・市長は、子どもの権利条例を次の選挙で利用したい邪な意図を感じる。

【市政改革クラブ議員】
・10%程度の認知度の中で、条例制定に踏み切ることには絶対反対。

・時間のない中でバタバタと進めるのは邪な政治的意図を感じる。

公明党議員】
・条例化されたとしても、子どもの権利を侵害しているのは大人である。懸念事項としてその大人の意識変革をどうはかるのか。

・いじめに関する検討委員会の考えは不十分だ。

【民主・共産・市民ネット議員】
パブリックコメントに関する関心を高め、効果的な意見徴集を。

・最終答申で子どもと関わる大人の役割を明記したことは評価できる。

・子どもの権利条例づくりは桂市政からの継続事項でもある。子どもの権利条約に関して教職員、学校に対する市教委の指導は適切であったのか。

・子どもたちが子どもの権利について学習し、高めていくために今後具体的提起を。

子どもの権利条約は、国連総会や国会で、満場一致で承認され、批准されている点について市の見解は。

川西市のオンブズパーソン実践例に関して

・子ども委員会の今後に関して、子どもの権利専門委員会の構成に関して

ひどい発言その一「休む権利、他人と比較されずにというような権利は子どもの権利としてかたられるようなものではなく」

権利は大人になったから与えられるというようなものではない。元来人間に存するものだ。いじめやハラスメントを受けた時の最後の砦となる学校へ行かないという選択肢を権利として認めることのどこに思想的偏りがあるのか。この発言に賛成するなら、後段で述べられる委員会を欠席した委員はどうなのか。

ひどい発言その二「批准したのだからつくらなければならないといっているが、条約=条例ではない。国際連盟?連合でしたか、たぶん会議の場でそれに反対するのもおかしなもので、みんながいいこなんだからやるべという雰囲気の中で、日本もおつきあいで批准したということだと思う。ただ適応される当事者として日本が意識をもって批准したものではないとぼくは思います。あくまでも発展途上国、もしくは紛争地域の本当に子どもが虐待や劣悪な環境を強いられているという国に向けての条約であると考えているので、札幌市はそういう地域でないということをもう一度言いたい」

そもそも国際連合国際連盟の区別も付いていないような政治知識で条約に基づいた条例に意見を述べるということ自体がどうにもならない。しかも、あろうことか国会で批准が可決されたものであることを忘れたような発言が続く。批准までに論議を深めていたであろう国会議員や外務省職員を馬鹿にしている。この市議会議員はそうした人たちにこの言葉を投げかけてみてほしい。この発言は倫理・道徳的にもおかしい。国際的にそれぞれの国がルールとしてこれを守っていこう、と合意したものを「ただのお付き合いだから、自分たちとは関係ない」として無視することがまかりとおるなら、校則や法令を「ただの押しつけだから、自分たちとは関係ない」として無視する人を非難することはできない。

ひどい発言その三「虐待なんかしているような親は社会認識もなにも欠如している人が多いか、病的な人なわけで」

虐待の多くが「しつけ」という名目で行われ、大人同士の付き合いの中では至って健全な人が多いことを知っているか。無知に過ぎる。

■とにかく、これはあまりにも非道い。選挙権を持った大人として、子どもに「こんな人を議員として選んでごめん」と言わなきゃならんじゃないか。

■ちなみにここから子どもの権利条例についてのパブリックコメントを出せる。こういう形での政治参加は年齢関係ないので、この日誌を見ている人は大人も子供もどんどん発言するべし。