漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

フリースクールを使え

■札幌市の不登校児童生徒はおよそ1500人。それに対して相談指導学級4つはいかにも少ない。といって、増やそうにも人手が足りないだろう。そこで、フリースクールに委託してみてはどうか。不登校の子への対応はフリースクールに一日の長があるのだから。そういう提案をフリースクールネットでしている。

■それに対する札幌市教委の回答はこうだ。札幌市にあるのは相談指導学級であって、適応指導教室ではない。適応指導教室は学外の施設である。かたや相談指導学級は学内の施設である。学校のものである以上、教員以外は配置できない。ゆえにフリースクールに委託はできない。

■俺は単純だからそう言われたら、じゃあ適応指導教室も作っちゃえばいいじゃん、と考える。どうせ数は足りないんだし。相談指導学級=学校なら、そんなとこ行きたくないという子供は多いだろう。外に施設を作る意味はある。また、それとは別に、相談指導学級にも1人2人でいいからフリースクール関係者を入れてはどうか、と俺は思っている。多方向から子供を見ることが重要と考えるからだ。

■多方向から子供を見ることの重要性は、スクールカウンセラーの配置が証明している。学内にカウンセラーを入れる最大のメリットは、子供の相談相手ではない。子供を見るのに「教員以外の視点が入る」ということだろう。相談指導学級とフリースクール。同じ不登校の子に関わっている機関同士、得るものはあるはずだ。

f:id:hyouryu:20201105191505j:plain

スクールカウンセラーといえば、札幌市でも今年度から全中学校への配置を決めた。しかし、学校数に比べカウンセラーの数が圧倒的に足りない。そのため、カウンセラーは数校の掛け持ちをよぎなくされ、また活動は週8時間までという制限から、学内にはわずかな時間しかいることができない。これでは利用したい子供も利用できない。

■札幌市では、スクールカウンセラーの資格を臨床心理士精神科医としている。今後、有資格者が増えればいいが、それまでの間、次善の策としてフリースクール関係者を配置してはどうか。先にも述べたが、不登校の子への対応はフリースクールに一日の長がある。また、関係各機関とのつながりもある。

■もっとも、たいていのフリースクールスタッフは、カウンセリングの専門技能は持ち合わせていない。であれば、カウンセラーよりは、むしろ廃止された「心の相談員」に近いか。廃止の理由は、スクールカウンセラーの全校配置が決まったから。しかし、上で述べたように、満足な活動のできない状況ならば、「心の相談員」を常勤で配置し、その上で専門技術を持つカウンセラーが週に何度かやってくるという形でもよいのではないか。それなら、フリースクールスタッフでも務まるし、子供も利用しやすい。

■本当は、スクールカウンセラーフリースクールスタッフを、ということを考えていた。だが、考えるうち、カウンセラーである必要は必ずしもない、ということに気がついた。必要なのは「他者の視点」だし、「子供の利用しやすい環境」だ。仕事が欲しい、という気持ちがないといえば嘘になる。だが、それより、この2つを満足させたいという気持ちの方が強い。そこが充たされるなら形はなんでもよい。

■少なくとも、現状では、相談指導学級もスクールカウンセラーもうまく機能してるとは言い難い。フリースクールを使え。そういう提案を今後もしていく。そのためには、役に立つものを持っていると証明してみせなきゃダメだな。そこをどうするか。

f:id:hyouryu:20201105191505j:plain

■なんだかどこを走っても道が混んでいる。危うく遅れるところだったよ、と訪問先で愚痴ったら、お盆だからじゃないの、とあっさりした返事がかえってきた。そうか、もうそういう時期か。そういや、大通公園でもビアガーデンの片づけが始まっていた。


本日の脳内BGM:夏のお嬢さん(榊原郁恵)