漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

9年間を見通す

■訪問2件を休みにしてもらい、「第2回スクールカウンセラー連絡協議会」に参加する。午前と午後で5区づつ、市内全小中学校の教頭とスクールカウンセラーが集まる会議だ。

■昨年度の札幌市の不登校児童生徒数は1600人を超えたらしい。3年連続増で、市教委は不登校対策を最重要課題と位置づけ、

  • 基本的対応の充実
  • 地域・関係機関との連携
  • 小中連携

を柱に、支援強化の計画を立てた。これには例の8年間監禁の事件も影響している。

フリースクールはこの中の「地域・関係機関との連携」に出てくる。子供がフリースクールに在籍してる場合は、先ず管理職が当該フリースクールを訪問すべし。ケースによっては学校の課題をフリースクールを通して渡したり、保護者との間に入ってもらうべし。フリースクールでの学習内容が指導要領に沿っていると判断した場合は、適切な評価を指導要録に記録、児童生徒また保護者にも伝えるべし。こういう話を市内全校が集まったところでしてくれるのは大変助かる。

■「小中連携」は対策の最大の目玉のようで、先駆的な取り組みをしている小学校からの実践報告があった。その学校では、スクールカウンセラー特別支援教育巡回指導員など外部の目を常に入れながら、役割を分担し、情報を関係者で共有、共通理解を図っている。「保護者や子供に変化を求めすぎず、今のままでOKという気持ちを持つこと。焦らず、また盛り上げすぎないように」。スクールカウンセラーからそう言われ、対応を改めた、という話もしていた。

■印象的だった言葉は、「9年間を見通し地域で育てる」というもの。小中学校の連携を深めることで年次の限界を崩し、長い目で子供を見ることが出来るようになる。年次に関係なく子供の成長に付き合う、というのは漂流教室の活動にも通ずる。中学校のスクールカウンセラーが学区内の小学校も担当していて、中学校に上がっても同じ人にまた会える、と安心する子供や保護者も多いらしい。(それはよく分かる。俺も栄養士さんが小学校から中学校へ一緒に持ち上がりになって、何となく心強い気になった)

■と、市教委もずいぶん変化したなと思う反面、「基本的対応の充実」は相変わらずの「早期発見・早期対応」だったりもする。理由なく連続2日休んだ子は"要注意"として、スクールカウンセラーに相談し、家庭訪問を行うこと、なんだそうだ。それは忙しいことだと嘆息する。たった2日も勝手に出来ないとは。誰が困っているのか、誰の問題なのか、その辺が相変わらずはっきりしていない。

■特に発言する機会もなく、お客さんのままで終わるかと心配だったが、何人かの先生、カウンセラーと知り合うことが出来た。それも収穫。名簿によれば小学校1、2年のときの担任がある学校の教頭として出席してたらしいのだが、残念、見つけることができなかった。

■しかし、学校にとっては上のようなことはフリースクールとの「連携」かもしれないけど、フリースクール側からはどうなんだろう。いや、子供次第か。考えてしまうな。