漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

平成16年度第2回研究成果交流会

■基調講演は北海道教育大学札幌分校の扇子先生のお話だった。この人は以前FSネットでも講演者として依頼したことがある人だ。家裁の調査官から始めてスクールカウンセラーになったという。

■さて、基調講演の内容は現在の不登校の姿が悩んだ末の不登校という形でないものが出現しており、対応が難しいことがあるといった話にまとまっていた。終了後、質疑を受け付けたのだが、それが出ないことを見て取って司会者が言った言葉が面白かった。曰く「よろしければ、そういった子どもたちと会う際のポイントになるところを簡単に教えていただけませんでしょうか」細かい言い回しはちょっと違ったかもしれないが、とにかく扇子先生からすぐに役立つ不登校の子どもとのつき合い方を得ようとするお願いをしていた。

■確かにこれは研究成果交流会だから、実りあるものを得ようとする心情はわからなくはない。でも、事例毎にそういうポイントは違うだろうと思う。どんな場合にでも通用するルールを作ろうとすると、「相手のことを考えて会うように」なんていう漠然としたものにしかならないはずだ。子どもの様子/会う人の資質/周囲の状況/経緯などなど、会う際のポイントを左右する条件はたくさんあるのだから。ところが、ちょっと考えればわかるこんなことを無視してまで、子どもとのつき合い方を司会者が問いかけなければならないのはなぜだろうか。

■それはこの交流会が対象と考えている出席者が、実際に会っている人ではないからだろう。だから、文部科学省のサイトから引き出せばわかるような資料をパワーポイントでまとめることが必要なのだ。「学校復帰」にせよ「SSC」にせよ実践者にとってはそれをどのように実行するかが問題であるのに、その点についての研究成果はちぃとも無かった。まぁ、今のところは中間報告までしかまとまってないようだから、最終報告に期待しよう。