漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

倍率0.98

■本日のサンデースクール会場はコミュニティ茶屋。お昼ごはんはチゲ鍋をつくって食べる。ニラを切らずに入れてしまったのは内緒だ。高校受験を控えた利用者は問題集に取り組む。

■今年度の北海道の公立高校入試倍率は0.98だそうだ。地域差、学校差はあるが、トータルでは定員に対して受験生の方が少ない。ここに私学が加わるわけで、高校全入時代はとっくに来ている。

■進学先を選ばなければ高校に入れるなら、「登校しなくちゃ高校に行けない」との脅しは意味をなさない。北海道はもともと内申ランクのシステムがあって、中学三年間の成績で受けられる高校が指定される。無視してもいいが、ランク外からはまず合格しないので、自然とその枠に従う。

■中学一年生でしばらく学校を休んだとする。二年生で復帰しても上位ランクの高校を受けるのはほぼ不可能だ。進学だけなら途中から学校に戻るインセンティブは低い。そこへもって公立高校全入なら、ますます通う動機がない。といって高校を減らして競争させれば、追い詰められる子は増え不登校は減らない。

■進路の観点から不登校を論じるのはますます難しくなるだろう。さて、これからどうなるか。とりあえずは私学の台頭か。特進コースか異才発掘か。特別なプログラムによる高校後の進路アピールはすでにおこなわれている。

通信制高校もその輪に入る。地元の公立高校へ行くより広域通信制の方が出会いもカリキュラムも上だと宣伝するだろう。個別最適化は「できる」人、「受けさせられる」家庭を利する。公教育のセーフティーネットであった韓国の代案学校も、そこへ通うことが新たな「強み」となり競争に取り込まれたと聞いた。

■では公立高校の役割はなにか。7年前か、北星余市高校のイベントでは、「負けを」支える仕組みが必要、全入時代の高校は社会への移行支援機関の役割が求められると言っていた。そうなるのだろうか。いや、すでになっているのか。

文科省が全国に300箇所増やすと息巻いている不登校特例校は、高校の入試倍率が1を切る世の中で意味を持つのか。もちろんフリースクールもだ。代案学校のような方向へ進むのか。別の軸を探すのか。

■誰のためなにをする団体か。考える時間はあまり残されていないかも。