漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

なぜNPOに

■モヤモヤしていたら日曜の日誌を忘れていた。

■事務所に札幌市から文書が届いた。市では「ワクチン接種予約サポーター」なるボランティアを募集している。自力では予約困難なお年寄りに対面でPC入力を手伝う仕事だ。高齢者の多い団地などに臨時会場を設置する。そこではたらくボランティアをNPO法人で呼びかけ、取りまとめてほしい。これがモヤモヤの原因。

■札幌市の感染状況はよくない。また、独力で予約できない人たちの存在も容易に想像できる。手伝えるものなら手伝いたいが、一方で、どうにも引っかかる。札幌市はどういうつもりで今回の依頼文を出したのか。NPOを札幌市のまちづくりのパートナーととらえているのか。それとも、ふだんからボランティアスタッフを抱えていて人をあつめやすいと踏んだのか。

■文書には、法人の定款に沿うようなら検討してくれとあった。ということは法人の「業務」と捉えているわけだ。であれば、市からNPO法人への業務委託なんじゃないのか。なぜそれがボランティアになってしまうのか。法人名で応募して、実務担当者名も記す。この形はやっぱり業務だし、であれば監督責任の所在が気にかかる。なにかトラブルがあったとき、どこが責任を負うのか。

■安全面にも不安がある。対面での作業で、感染対策はどうなっているのか。保険には加入するようだが、ボランティアに優先でワクチンを打ってくれるわけじゃなさそうだ。自分だけならまだしも、学生に呼びかけるのにこれではどうも頼みづらい。

■大変な状況なのはわかる。猫の手も借りたいくらいなのかもしれない。札幌市には恩もある。感染防止のための予算を割いてくれた。繰り返すが手伝いたい気持ちはある。だが、非常時だからとウヤムヤに動員されるのは気持ち悪い。NPOは行政の便利屋じゃない。

■依頼文には、当該ボランティアのほかに個々の取り組みとして、親戚家族、近隣の高齢者へのワクチン接種の声かけや会場までの送迎をお願いしたいとも書かれていた。市民の「共助」で苦境を乗り越えたいと。「共助」。そりゃ言われなくったって声くらいかけるが、「共助」ってこういう形でつかう言葉なのか。しかも行政が。前首相の子ども食堂への「手紙」を思い出す。

■札幌市にあるNPO法人はおよそ930団体。うまく機能すれば、ずいぶん市政の力になるだろう。そのためにもこんな曖昧な形態ではなく、ふだんからNPOを組み込んでのまちづくりを考えてもらいたい。と、そういう要望を出しておこうっと。(6/14夕)