漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

フリネットを気にしているよ

漂流教室はもう抜けているがフリースクール全国ネットワークの話。東京シューレで起きた性暴力事件を受けて、フリースクール全国ネットワークが「子どもの人権擁護に関する調査検証委員会」を設置したのだが、その委員の人選について性暴力事件の被害者から要望があった旨のツイートが。

■まず構図として、フリネットは東京シューレと別団体であるという建前を持ちながら、シューレに賛同するように動く業界団体となっていたことが、話を複雑にしている。東京シューレと同じ団体だとまでは言わないが、成立の経緯や理事等主要な構成メンバー、これまでに行ってきたこと(教育機会確保法を巡る動きなど)を考えた時に、別団体であるという建前を現実のものにするように活動していなかったことは否定できまい。だから、フリネットはNPO法人だから制度上東京シューレとは別団体で事件とも直接の関係が無い、調査検証委員会は事件そのものを扱うのではなくフリネットの対応を検証しているのだ、とフリネットの立場を言えばいうほど、それは事件被害者にフリネットと東京シューレとの関係性を無視せよという圧力を生みだす。被害者は以前からフリネットの検証による二次加害を訴え検証委員会の独立性を求めているが、被害者としては至極当然と思う。この建前を続ける限り、被害者は苦しさを持ち続けることを理解した方がいい。

■この関係性にけりをつけないまま検証を進めてきた中で、検証に携わることを被害者が拒否したくなるような性的嗜好に関する発言を検証委員の一人がTwitterに書き込んでいたことが発覚した。そこから検証委員の適正を問題とする発言を被害者の支援者が主にTwitter上で繰り広げたところ、検証委員本人に加え他検証委員からも支援者の発言が事実に基づかない誹謗中傷である旨の反論があり、意見が衝突している。検証委員はTwitterアカウントに鍵をかけたり訴訟についてほのめかす発言をしているし、被害者を支援する人たちは東京シューレ=フリネットという関係性に基づいて(不登校新聞がここに加わることもある)原則建前でしか動かない検証委員会に難しいだろう要求を出し続けている。Twitter上の発言を見ていると、この点では双方譲るところなく着地点は見えない。

■フリネットは被害者から検証委員二名の解任と独立した検証委員会の設置を求められている。それは建前を止め本質的にフリネットがフリースクールの中間支援組織になることと繋がる。それに応じる可能性は低いと自分は思っているが、もしそれを行えたらフリネットが東京シューレという軛から逃れてフリースクールの中間支援組織として一歩目を踏み出した証になるだろう。(火曜日)