漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

通常総会終了

■2015年度通常総会が定数11名中、参加が9名、委任状2名で開催され、無事終了しましたのでご報告します。

■昨年度は財政面が課題の一年でした。一昨年度の34万円の赤字をカバーするため、昨年度はかなりの緊縮財政でのぞみ、実質32万円の黒字になりました。しかし、理事からはそうした経営は続けないように/恥ずかしいとのお言葉が。確かにそのとおりで、それをどうするかが今年のテーマになります。委託事業の部分はそのまま入ってくるとして、やはり本体の「訪問と居場所」で黒字にもっていかねばならない。そのために 1、利用者増 2、寄付増 3、賛助会費増 の「三増」に取り組みます。

■まず、利用者増のため、「訪問と居場所 漂流教室」と団体名を変更して新しいパンフレットを作ったことを武器に、教育委員会児童相談所、病院、相談機関などに広報宣伝をかけます。関係機関の職員全体に知ってもらうことが第一。また、問い合わせに待たせないために、スタッフ増も必須です。訪問30名、漂着10名の利用者を目標にします。

■とは言うものの、昨年以来続いている「利用者減」の流れは何に由来するのか、今一つ掴み兼ねているのもあります。なかなか自分たちだけでは問題点が見つからないので、漂流教室を調査・分析の対象にしてもらうことを考えた方がいいかもしれない。「ここがヘンだよ、漂流教室」みたいな。不登校やひきこもりの人たちが生きる道も、創業当初からは変わっているはずで、それに合った活動になっているのか。経営的な面で利用者増が必要というのもあるのですが、むしろ自分たちのやっていることが社会のニーズに合っていないのではないかという点が気にかかる。

■新たなニーズとして出てくることが考えられるのは、「多様な教育機会確保法案」成立を受けての「個別教育計画」の策定に取り組んで欲しいというニーズです。この法案は様々な懸念があり(後述)、出来ればストップしてもらいたいくらいなのですが、恐らく成立してしまうでしょう。そうなった時に、子供の思いを確実に守ることのできる計画アドバイザーが必要になってくるはずです。以前の「在宅学習支援コース」が「二時間コース」になった今、この策定をするコースを「在宅学習支援コース」(或いは、ホームスクーリングコースとか?)として復活させるのも検討したいところです。

■寄付については、gooddoというクラウドファンディングに登録。ワンクリックで少額寄付が可能になります。FacebookなどSNSも活用し、広報も兼ねて寄付を集めます。大口の寄付を集めてみてはどうかという意見もあり、模索したいと考えます。常々スタッフ研修ではNPOは寄付で活動資金を集めるという話をしているので、この点もスタッフに諮ってみるのもいいかもしれない。新たな視点が出てくるかも。

■賛助会員増は、居場所応援プロジェクトを実施します。 フリースペースに年間かかる費用約100万円を賛助会員費によって賄えるようにするプロジェクトです。全部まかなうとすると200名なのですが、今年はまず100名を目標として集めます。福祉関係者、教師、保護者、当事者それぞれにとって、居場所が必要であることを訴えることで、各々25名ずつといったところでしょうか。以前に利用していた方々と、また連絡を取る機会になっていくかもしれません。それは楽しみなところも多いです。

■事務体制をしっかりとするようにという指摘もありました。単純に広報するだけでなく金銭が絡みますから、かなり意識的にならないと。この指摘には、三人そろってうーんとなっていましたが、それではいかんね。頑張るしかない。活動の本筋である、子供若者への対応をしっかりするためにも、団体の基盤を固める一年にしましょう。

■総会終了後は、昨今の不登校を巡る情勢について、ざっくばらんに会員と会談しました。やはり「多様な教育機会確保法案」についての話がメインでした。このままだと、成立の公算が高いこの法案ですが、どのように運用されるのかが不明確であったり、個別教育計画を立てることで義務教育終了を認められるという流れへの懸念などがあります。今後行われる討議の場で、それらを反映させるとすれば、推進の中心になっている議員と対話できる立場の人と直接会って伝える必要があります。ということで、28日に行われるフリースクール全国ネットワークの総会には、相馬が漂流教室から意見を述べに行きます。フリースクール全国ネットワークは、これまでの活動でこの法案が概ね成立する見通しも立ったのですから、今度はより細かい反対意見や懸念を議員に伝えるべきです。そうした声を「意見もあるが、まずは成立させる」というように切り捨てることは、まさにまさに、不登校対応の中で我々がやってはならないことだと言い続けてきたことのはずです。(火曜日)