■以前日誌でも紹介した児童書、斉藤洋 作の「ルドルフとイッパイアッテナ」を、相馬さんが借りてきてくれました。なので、何年ぶりに読み返してみました。
■この本の著者は、主人公の黒猫、ルドルフ。という設定。そこがもうとても魅力的で、まずプロローグでぐっと読み手を引き付ける。そして子ども心をくすぐります。猫が本を書いたことについて、著者のルドルフはこう言っています。
きみは、どうしてねこに字が書けるんだろうって、ふしぎがってるね。ねこに字が書けるわけないって、そう思ってるんだろう。人間ってやつはいつもそうさ。なにか、めあたらしいことをきくと、すぐにうたがうんだから。
■これを読んで、あああ、人間って嫌だな、嫌な生き物だな。と幼いながらに思った記憶があります。
■久しぶりに読み返してみると、こんなにも面白い本だったのかと衝撃でした。これは何年たっても忘れないわけだ。
■物語の中には、「きょうよう」という言葉が何度も出てきます。ルドルフが「きょうようって何?」とイッパイアッテナに聞くと、「そういうのがわからないのを、教養がないっていうんだよ。」と一喝されてしまいます。
■そしてルドルフはイッパイアッテナに教わりながら色々なことを勉強していきます。学校の図書館に忍び込んだり、捨ててある新聞を読んだり、砂場に字を書いたり。イッパイアッテナは、本の中でこんなことを言っています。
いつでも勉強できるなんて思っていると、けっきょく、勉強しなくなってしまうことが多い。いましかできないと思うと、むりをしても、そのときにやるんだけどな。いつでもできるって思っていると、やらなくなってしまうもんなんだ。それにな、ひとりっきりで勉強するっていうのは、いうほどかんたんなことじゃないんだ。
■あまりにも心に残る言葉が多すぎて、全部紹介したいところだけど、あまり紹介しすぎると実際本を読んだ時に面白くなくなってしまうので、この辺にしておきます。
■この本のなかで一番素敵なのは、登場猫物たちの友情の熱さ。色々なアニメや漫画の中で、「男同士の友情」が好きな私。この本にも、胸を熱くするラストが待っています。もしかして私の「男同士の友情」好きは、この本から始まったのかも。