漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

ぼくらの物語

■『プロチチ』についてもう少し書く。

プロチチ(1) (イブニングKC)

プロチチ(1) (イブニングKC)

■もう20年以上逢坂みえこのマンガを読んでいる。『プロチチ』の主人公はアスペルガー症候群の男性。大学までは成績優秀だったが、就職でつまずき、子供が生まれたのを機に専業主夫になる。発達障害がテーマになってはいるが、読んでみればほかの逢坂みえこ作品の男性たち、例えば『永遠の野原』の二太郎や太と彼は何も変わらない。

■二太郎も太も、いろいろなことが分からなくて、自分に悩み周りに悩み、空回りしながら懸命に世界との接点を探していた。対峙するのが高校生活か0歳児か、その違いでしかない。人はどこまでも「分からないもの」に囲まれて生きている。

■あ、そうか。子供と主人公の関係は「みかん」と二太郎と同じなんだ。二太郎がみかんを見ながら自分に気づいたように、『プロチチ』は0歳児を通して自分に気づくのか。0歳児が見る世界と主人公の見る世界が時としてオーバーラップし、それを通して読者は自分に気づく。

必要ですか? 愛って
A.愛がある B.愛がない ならAの方が望ましいでしょうが、A.愛はあるけど世話しない B.愛はないけど世話をする ならBがベターだと思うのです。特に乳幼児期は
「愛」はコントロールできないけど「世話」は努力でなんとかなる

■この台詞にうなずく男性は多いんじゃないかな。『永遠の野原』を読んで、まるで自分のことのように感じていた。『プロチチ』も同じく「ぼくたちの物語」になるのではと期待している。そして、障害を特別なものじゃなく描く逢坂みえこのやさしさと力に感心する。

■次は斉藤和義の「やわらかな日」について書くよ。


■ずっと風邪気味だったが、ついに熱が出た。38℃後半は久しぶりだ。大事をとって訪問も漂着教室も休みにしてもらった。じっと寝ていたら、以前の会社に再就職した夢と、卒業試験を受ける夢を見た。もっと楽しい夢を見たい。