漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

いじめのこと

小6女児自殺 いじめ、なお存在認めず…滝川市教委

北海道滝川市の小学校の教室で昨年9月、6年生の女児(当時12歳)が首をつり、その後死亡した問題で、市教育委員会は2日開いた記者会見で、「原因は現時点で特定できない」と述べ、いじめの存在を事実上認めないとの従来の見解を繰り返した。女児が「『キモイ』と言われてとてもつらくなりました」と記した遺書の内容について、市教委側は「クラス全員から言われたとの事実は出ていない」などとした。
(中略)
 遺書の内容で、女児が5年生時に「キモイ」と言われたことについて、市教委側はバレンタインチョコを渡そうとした同級生からの言葉と明かしたが、いじめには直結しないとの考えを示した。
 また6年生の時、「私がチクリだったのか差べつされるようになりました」とした記述について、女児が友人のノートの内容を言いふらしたとしたうえで、「担任の指導がなされ、解決したと受け止めた」と説明した。
 さらに教室が自殺を試みた現場となったことについて、安西教育長は「なぜ教室だったのか、おそらくさまざまなことがあったのだろう」と、今後も引き続き調査する考えを示したが、遺族に結果を伝える時期や調査方法は明言しなかった。(後略)

遺書非公表の滝川市教委を批判 伊吹文科相

北海道滝川市の小学校の教室で昨年9月、6年生女児(当時12歳)が首をつり、その後死亡した問題で、伊吹文明文部科学相は3日の閣議後会見で、「子供が訴えていたことを公表せずに握りつぶすことはあってはならない」と述べ、遺書の公表を遅らせた滝川市教育委員会の姿勢を批判した。
 また、いじめの有無については「いじめを受けたか、受けなかったかは子どもの受け止め方もあるし、客観的に見てどうかということもある」と判断を保留したうえで、「幼い子供の動揺を出来るだけ早く見抜いて、家庭あるいは学校現場がしっかりと対応してもらわないといけない。そのためにも、(遺書を)握りつぶすのはあってはならないことだ」と繰り返した。

いずれも毎日新聞より。いじめの有無の調査やら、いじめが自殺の原因になったかの特定やら、学校が警察・検察・裁判所の役割を果たすつもりのようだ。文科省も「客観的に見てどうかということもある」という言葉を使い、その態度で良しとしている。まとめると「いじめを行う犯人役がいて、被害者に害を成したことが確認された場合、悪として断罪する」という犯罪と同じような扱い方を指向しているようだが、果たしてこれでよいのか。あるきっかけで対象者の集団内の地位をおとしめ、周囲とのコミュニケーションをできない雰囲気を作る形のいじめだった場合、その形跡は皆無になり、「たまたま話さなかっただけ」という形でいじめは隠蔽されてしまう。