漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

満足できるかな

■何かをしようと思ったとき、その何かが世の中で価値を持つもので且つ達成がやや困難な場合を一般的に「意思」と呼び、逆の場合を「欲望」と呼ぶ。そういった手合いの区分けというのは結構あって、例えばゲームをしたりテレビを観たりしてるだけの子は「何もしてない」と言われ、また自分でもそう感じていたりする。これが勉強や運動だとそうはならない。

■だが、言うまでもなく彼らは「何もしていない」わけではない。ゲームをしたりマンガを読んだりテレビを観たりしている。しょうことなしにしているのかもしれないが、とにかく「何かはしている」わけだ。勉強なり運動なり世間的に価値のあるものを「させよう」とするよりは、今「している」ものに注目して、それを認め、さらなる活動の端緒とする方が簡単ではないか。ということを山田がよく言っているが、先日の有朋高校の講演会で、坂野氏も同じことを言っていて、ほう、と思った。

■坂野氏曰く、意識していないだけで普段も必ず何かをしている。出来ないことをなくすのではなく、普段出来ていることを意識して、それを増やす方が易しい。「漂流教室」の活動に「自分ボックス」というものがある。まだあまり上手く機能しているとは言えないが、普段の自分の生活を意識し、自分を捉えようという試みだ。何もしていないように見えて、変化していないように見えて、実は何かをしているし変化もしていることに気づくだろう。想像であれこれ思い悩む前に、自分を具体的に把握することが肝心だ。

■もっとも、ひとつ問題がある。それは「満足感」。♪だけど満足できるかな〜、だ。確かに「何かはしている」かもしれないが、本人はそれでは満足してないのかもしれない。そこを忘れて、「本当に何もしてないんだ」と子供を怒らせてしまったケースがあった。自分が「何もしていない」わけではないことを理解してもらうと同時に、満足できるものを考える必要がある。ここまで書いて、講演会のレジュメを見直したら、まとめに「満足を伴うことを考える」とあった。


■すっかり秋めいた中を訪問3件。最近行きだした先の子が、帰り際に「すっきりできた」というようなことを言っていて、ちょっと嬉しかった。昨日、新規の訪問が決まり、今週木曜にも新しい訪問先へ向かう。最近、問合せが多くて嬉しい限りだが、気がつくと女性スタッフが大幅に減っていた。以前は男が足りんと嘆いていたのに。このままでは女の子への訪問を受けられない。募集だ募集。


本日の脳内BGM:満足できるかな(遠藤賢司