漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

北海道フリースクール等ネットワーク研修会

■先週火曜日に北海道フリースクール等ネットワークのスタッフ研修会があったので出席した。今回の研修は、日本版DBSについての概要とそれに向けてのフリースクール札幌自由が丘学園での取組について、報告を聞きながら考えるという内容だった。

■日本版DBSは、去年6月に成立した学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律(こども性暴力防止法)に基づいて2026年度中に施行される制度だ。子供に関わる仕事に就く人に性犯罪歴が無いかどうかを雇用主が確認する制度である。対象になる事業をざっくりまとめると、制度を利用する義務が生じる学校・認定こども園等とそれに準じる体制を確保していることを保証する認定制度の対象となる民間教育・保育の事業者に二分される。フリースクールは後者に属する。今後、行政と協働する場合に、この認定を得ているかが基準の一つとなる可能性はある。今回の研修で制度の概要や今後の予定を知れたのは良かった。

東京シューレ性加害事件以降、心あるフリースクールは同様の事件が起こさないための仕組み作りを試行錯誤している。札幌自由が丘学園はボランティアも含めたスタッフの行動規範を公開してくれた。このように前例があると大変ありがたい。漂流教室の場合は、密室で一対一で接する訪問という形式において、スタッフがどうあるべきかを考える必要があるので、より細かく厳しいものになるのではないか。それでも認定制度が決める基準に適合できるか不安が残るが。このあたり、アウトリーチが推進されている支援現場との兼ね合いはどうなっているのか。

■制度については、「大きな物語からいえば」という前置きで、既に服役して罪を償った人に対してその過去を問題にして雇用するかどうか決めるのはいかがなものかという意見も研修中にあった。しかし、公教育という大きな物語から外れた人に関わり支援しているフリースクールが、ここでは服役による贖罪と更生という社会システム(大きな物語)に全幅の信頼を置くというのは、どうも筋が通らない。そのように考えるのは、性加害事件への理解がジェンダーロールや支援という権力性によって阻まれているといった、別の要因があるのではないだろうか。

■というようなことを行った研修だったが、当日は新年明けて初の漂着教室で利用者がめちゃくちゃ多く、聞こえなかったり話せなかったこともままあった。資料のファイルをもらったら、また何か書くかもしれない。(火曜日)