漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

デジタル遺産

■金曜日にお楽しみが一つある。Apple Musicという定額音楽聞き放題サービスを使っているのだが、これがそれまでに聞いた曲のデータを解析して「君、こんな曲が好みならこういうのがあるよ」と毎週新旧合わせて20曲ばかり、まだ聞いたことのない曲をリストとして配信してくれるのだ。主にハードロックやヘヴィメタルを聞いているからその線が多いけど、たまに聞く昭和歌謡やアニソンをデータに入れるらしく、ほとんど聞かない今の日本の流行り曲なんかもかかる。一度、アニメの男性声優が女性のあなたと一緒に通勤してくれるという設定のCDから何曲もかかった時は、Appleはおれにそういう性癖があると解析したのか?と思ったが。

■土曜日にそんなリストをかけながら共和町に行っている時、ふと「これ、自分が死んでも毎週配信されるんだ」と思ってしまった。毎週毎週Appleが、死んでいるおれに向けて、生前のおれの好みを元に曲をチョイスして配信してくれる。世の中に新しい曲が出るたびに、それがおれ好みか判定して選んでくれるわけだ。オートマチックに電脳が手向けてくれる鎮魂歌とでもいうのか。なんだか、天空の城ラピュタでロボット兵がラピュタの墓守をしていたシーンを思い出す。あんなにリリカルじゃないけど。

■死んだ後に残るPCやスマホのデータはデジタル遺産と呼ばれ、どう消去するのか随分頭を悩ます人も多いみたいだけど、こんなデジタル遺産なら残してほしい。墓にiPodでも埋め込んで、毎週金曜日に新しい曲のリストが自動で流れるなんてどうだろうか。(火曜日)