漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

ベイビーステップ

■漫画喫茶で何の気なしに読んだマンガが面白かった。

週刊少年マガジン」連載で、もう40巻くらい出ている。中学までまじめ一筋に来た男の子が高校からテニスを始め、プロを目指す物語。動体視力に優れているといった天性の才能もあるけれど、一番の武器は分析力。すべてをノートに書き出し、傾向と対策を編み出し実行する。目標に向かってやれることをひとつずつ、確実にこなして(まさに『ベイビーステップ』ステップアップしていく。

■でも、そんなことばかりしていると、つい自分ばかりでどうにかしようとしてしまう落とし穴もあって、作品では「緊張」をテーマにそれを回避する。

  • 緊張する→うまくいかない→修正をはかる→失敗する→さらにうまくいかない
  • 緊張する→うまくいかない→現状を認める→相手を見て分析→対応

前者が緊張の悪循環。そうじゃなく後者の方、うまくいかないときほど相手を見ろ、とこのマンガは勧めるわけです。だいたい、ドツボにはまるときというのは自分の内側へ内側へ意識が向かっている場合が多い。どんどん狭いところへ入り込んで身動きが取れない。困ったときは他人に意識を向ける、というのは悪くないアドバイスじゃないかな。

■「重圧」の消し方、というのも面白かった。重圧は挑戦しようという気持ちから生まれるので、ないと困る。でも、ありすぎても身体が動かない。そこで活躍するのがやっぱりノートで、プレッシャーの原因を思いつくだけすべて書く。原因をはっきりさせたら、それを頭の中で20〜30%残して消す。自分が視覚優位なので、そのイメージはピンとくる。なるほどね。

■要は現状認識を正確にして、すぐに効果がでなくてもできることをコツコツやろうという、身もふたもない話なんですが、それで作品として面白いんだからたいしたものだよね。途中から「リスクをとる」という言葉がよく出るようになって、これまた「自分だけじゃなく相手を見ろよ」というメッセージなのでした。バランスとるなー。