漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

やらせたがりさ

フリースクール交流会には訪問先の子とその友達が参加していた。どちらも行事には初めての参加だったが、それなりに楽しんでもらえたと思う。早く終わらないかなと思うシーンもあったようだが、作成作業に自分が関わるシーンは面白そうだったからな。ものづくりを共同でするというのは、楽しい。

■人間、育っている間に大なり小なり、その面白さを経験しているものだ。それは家の手伝いであったり、遊びの中であったり、とにかく二人以上で何かをするというところから始まっているはずだ。それを思い出すことさえできれば、案外自分で動き始める。このあたり、メンタルフレンドのやり口のベースだな。

■ただ、そこで注意しなければならないのは、こちらの「やらせたがりさ」だ。今回のような行事をやると、スタートが自分の興味でない故に、やらされている感じを常に持つ子が結構いる。それでも、こちらの「やらせたがりさ」に付き合ってやるかという感覚で始めて、面白さを感じて能動的に関わる子がその中から現れる。そして、能動的に関わる子をより多く出来るのがより良い教育であると思っている大人は多い。

■この評価軸は、ある程度までは正しい。間違いなく、そこからスタートする子はいる。しかし、そうでない子に関しては、能動的に関わらせる方向オンリーに大人はなりがちだ。時には、大人が受動的になることも必要だと思う。共同作業の楽しさは本人の中に通常存在するのだから、こちらからの「○○をやろう」に反応しなくとも、彼らが能動的になるシーンをじっと伺うのだ。それには、時間や自己表現が自由にできる環境調整が必要だが。

■また、この評価軸は大人を縛る。・より関わらせるにはどうすればよいか・関わろうとしない子がいるのは自分の責任だ・受動的な子は能動的になるべきだ、などなどの悩みやドグマを生み出す。時には巧妙なやらせ方を考える方向に大人を向かわせる。共同作業に人が関わり始める方法はたくさんあるのに、学校というシステムではごく一部しか経験できない。フリースクールのメリットは、様々な関わり方を経験できる場を提供できるというところにあるだろう。今回のような行事も、それを意識して運営できるといいのだが。

■訪問一件。帰宅してネットを見ていたら、「海猿」が作者の運営している「漫画 on Web」というサイトで全巻無料で読めるというので読んでしまった。