漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

発達障がいの子どもたちと思春期

■日曜日の小樽の講演会について、滝山くんからのレポートが届いたので掲載します。ありがとう。

タイトルは「発達障がいの子どもたちと思春期(少年非行の現場から見えてきたもの)」。講師は小栗正幸さんと言って、少年鑑別所などで非行少年と面接したりする、法務技官という職業に長年就いていらっしゃる方でした。冗談を交えた軽快なトークで、2時間ちょいぶっ続けで語るパワーには圧倒されました。

講演の内容は、教師や親のための発達障害の子どもたちへの具体的指導法がメインでした。小栗さん曰く、「発達障害の子どもたちへの指導に、カウンセリングをはじめとする心理療法はあまり効果的ではない。むしろソーシャルスキルを獲得させる訓練のほうが数十倍効果的」。発達障害とはいわゆる「病気」ではないため、根幹にある障害は悪化も進行もしない。悪化するのは自尊心の低下に伴う二次障害としての抑うつや非行であり、それは予防、改善しうる、という観点から、「やればできる」という自尊心を高められるような指導法が有効なのだそうです。

具体的手法としては、トップダウン戦略で、目的や結果を重視した指導を心がける(語彙を増やす訓練よりも実際場面で言葉を使えるように訓練する等)、子どもに小遣いを月給であげず、日給制から始めて(管理しやすいため)、生活管理能力をつけさせる等、発達障害の子どもと指導者として関わる人にとってお役立ち情報が満載でした。

少年鑑別所や少年院に入ってくる子どもたちには、発達障害を持った子どもも多いそうです。しかし、そういった子どものほぼ全てが、鑑別所に入って初めて発達障害だということが判明し、それまでは未療育なのだそうです。発達障害の子どもたちにとっては、健常な子どもたちよりももっと適切な環境が重要である、ということでした。