漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

ふらんだーすの犬

■家にバターナイフがない。これまでスプーンで代用していたが、やはり不便なのでつくることにした。拾ったサクラの枝を小刀で削る。あらかた形ができたらやすりで磨く。潰したクルミのオイルを塗って完成。スプーンのようなくぼみがないから楽だった。

ついでに、100均で買った木製スプーンが黒ずんでいたので、やすりで磨いてオイルフィニッシュ。木工細工は楽しい。

橋本治に『ふらんだーすの犬』という短編がある。意識せず子供を虐待してしまう女性と、無関心に加担する男性と、ときに虐待された子供の視点を交えて、淡々と話は進む。女性の成育歴が挿入され、川が流れるように事態は進み、子供は死ぬ。ことが済んだあとに批判するのは簡単だ。だが、そこに至るまでの過程はほとんど見えない。おそらく当事者にも見えていない。虐待が許されるわけではない。ただ、「児相相談所との約束を守ってちゃんとした親になるため子供を厳しくしつける」ということもあるんだろうと想像する。

大人の世界はすき間だらけで、そのすき間を漂うのは不幸になった子供だけだ
橋本治『愛の矢車草』

■虐待は許されない。だが、それで親を責めたとして、ただ川の流れを早くするだけではないか。むしろ淀みをつくって、漂う子供が流れ着くようにした方がいいのじゃないか。抽象的な言葉ばかり浮かんで具体的なデザインが難しい。

蝶のゆくえ (集英社文庫)

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愛の矢車草 (新潮文庫)

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