■「かぐや姫の物語」を観た。びっくりするくらいいい映画だった。「竹取物語」の筋そのままにこんな素晴らしい映画になるなんて。
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■翁と媼は驚きつつも、かぐやが大きくなったと喜ぶ。かぐやが笑えば彼らも笑う。だが、それは長くは続かない。竹から金の粒と高価な着物を得た翁は、「この子を都で育て、然るべき人のもとへ嫁がせねば」と考える。それが自分の「使命」だと。
■「使命」にかられた翁は、もうかぐやを見ても笑わない。なんでも吸収してすくすく育って、これまではそれで十分満足だった。だが「使命」に照らせば、あれもこれも足りない。こうしてかぐやは、生まれ育った里山や遊び仲間と別れ、都で行儀作法と習いごとを強要される。そこから先は、故・雨宮まみのレビューが詳しい。
■翁に悪意はない。真剣にかぐやのことを考え、かぐやのために奔走する。だが、その過程で、かぐやを「なにもできないダメな子供」として扱っていることに気がつかない。
■ただ笑っているだけでよかったのに。成長がただただ嬉しかったはずなのに。どうして人はそれだけでは満足できなくなるのだろう。勝手にラインを設定し、見比べては至らないと嘆く。かぐやが笑って、翁と媼が笑う。あの美しいシーンを見た瞬間、その終わりがはっきりわかって、うっかり涙ぐんでしまったのでした。