漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

王とサーカス

■こんにちは、ボランティアスタッフの高橋です。『かがみの孤城』はやはりいい小説です。読んでいてはっとさせられる部分もあるし、ミステリーとしてのおもしろさもあるし、エンターテイメント性がある本だと思います。

■最近は『王とサーカス』という小説を読みました。主人公はフリーランスの記者で、とある理由でネパールに滞在することになり、そこで起きた事件を取材するにつれて自分も巻き込まれていく、という話です。その事件は「ナラヤンヒティ王宮事件」といい、2001年に実際に起きたものです。王族が集まる晩餐会で、皇太子が国王を含めた多数の王族を銃殺した事件です。

■主人公は、とある関係者に取材をします。その人は軍人であったため、「知は尊く、それを広く知らせることにも気高さは宿る。そう信じているからこそ、退職してからも記者として生きていこうと決めたのだ。いまこの場にいるのはわたしなのだから、わたしがやらなくてはならない」と自分を奮い立たせました。

王とサーカス

王とサーカス

しかし、取材を断られた後、思いも寄らないことばを投げかけられます。それは、「記者として仕事を遂行する意味」がゆらぐだけでなく、「仕事をする上で自分が持つ信念」をも突き刺されることとなりました。その会話シーンが非常に良かったです。

■『かがみの孤城』と全然似ていない小説ですが、最近読んだ中では『王とサーカス』もおすすめです。