漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

シンプルな動機

■昨日は突然高熱が出て一日中寝ていました。明け方に大汗をかいてようやく下がった。今は元気です。

■やけにたくさんの夢を見たんだけど、はっきり覚えているものがない。どれも結構おもしろかったんだけど。なにかの小説を読んで、意外などんでん返しにつくづく感心した記憶はある。あ、『昭和元禄落語心中』の樋口栄助はみよ吉の弟じゃないかと気づく、という夢を見た。高架をくぐった向こうが工場の排煙で白くけむった貧民街だったという夢も見たな。あれはなんだったんだ。船に乗ったり、柔道の試合に出たりもした。いや、出なかったんだったかな。柔道着が見つからなかった。

■起きてる間は本を読んでいました。『身近な雑草の愉快な生きかた(ちくま文庫)』と『身近な虫たちの華麗な生きかた (ちくま文庫)』。生き物の進化というのは本当に面白い。発芽時期をいつにするかは植物にとって常にギャンブル。早く芽を出せばほかの植物をおさえて場所を確保できるが、まだ気候が不安定だったり、除草剤をまかれたりするかもしれない。といって、遅くに出せばいい場所をすべて取られている恐れもある。だからオナモミはひとつの種に早く発芽するものと遅く発芽するものふたつを用意しているという。早く出てそのまま無事なら問題ない。なにかあって芽が死んでしまったら、遅く発芽する方が代わりに伸びる。

■または、地上と地中の両方に花をつけるミゾソバ。地上の花は他家受粉をし、遠くへ運ばれる。地中の花は自家受粉し、その場で育つ。自家受粉は親と同じ形質を受け継ぐので、親が育った場所に適合する確率が高い。一方、未知の場所へ飛ばされる種は、生き残るため別の遺伝子情報が入っている方がよい。

■さまざまな進化の底には「遺伝子を残す」というシンプルな動機がある。自然科学を人の活動にあてはめるのは好きじゃないが、NPOの、漂流教室の動機ってなにか、と考える。株式会社が強いのは「利益を上げる」というシンプルな動機があるからじゃないか。今後、生き残っていくための戦略は。そして、その戦略を支える動機は。はてさて。