漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

支援のこと

仮面ライダーWを見てから、町内会清掃。というか、公園の雪割り。近所のおじさんおばさんと何かを一緒にやるというのは、二十年以上振りだろう。「大きくなって」という声がかかるが、そりゃそうだ。昔の顔なじみも住んでいるはずだが、参加していない。いつか顔を合わせるべ。

■午後からLet's円山改め札幌市若者支援総合センターにて、支援者ネットワークの検討会に参加。ゲスト講師として香山リカさんの話しを聞いてから、シンポジウム。香山さんの話しは総花的感じ。そうですね、とうなずきながら聞けるが、もうちょっと突っ込んだ支援者の問題に触れてもらってもよかったかな。シンポジウムには発達障害の当事者もいて、話しが発達障害を持った人の就労支援に傾いた感があったので、次回あるならそうでない人の支援についても語る場がほしい。

■通して感じたのは、誰がやっても一定の成果が上がる支援システムの構築を目指すよりも、支援者同士のやり口を互いに知る機会を増やすことがネットワークの役割だろうということ。個別支援のやり方はいわば職人芸みたいなものだと思う。例えば、瀬戸物、九谷焼信楽焼、色々な焼き物を作る職人のやり口は違うしできるものも違うが、陶器を作ることは同じだ。しかし、得意なものは違う。それぞれの職人の作り方を学んでおけば、自分の技術にも生かせるかもしれない。また、顧客の求めるものを自分が提供できなければ、誰かに渡すこともできる。そのためには、作り方を微に入り細に入り見せてもらうことが必要だ。漂流教室なら「訪問してます」というだけではダメで、訪問の中でどのように接しているのか見せることになる。だから当然、クローズドな話し合いになるだろう。

■或いは、個別支援のやり方は食事作りにも通じるかもしれない。職人芸は限られた人だけが技術を手にしているが、料理は誰しも生きるために身につける。それが上手いか下手かはともかく、生活できるだけのスキルは身につける。困ったことを解決する力はそんなものだろう。「昔は困った人がいたら、周りが相談に乗っていたのに…」と残念がる言葉を聞くことがあるけれど、生きている中で誰かを支えることを人間は自然に行ってきている。例えば、飲み会で飲み物が足りなくなったとき、自分で買ってくると言い出す人もいれば、誰かに頼むのがすごくうまい人もいるだろう。酒屋に電話して持ってきてもらうことができる人もいるかもしれないし、「しゃあないね」と飲み会をうまく終わらせることができる人もいるかもしれない。人それぞれにあるやり方のどれがその場に合っているかは、場合よって違う。しかし、誰もが何かのアイデアを持っている可能性がある。自分はどんなやり方をしているか認識して、周りに伝えることができるのがいい。日々の人との関わりの中で、自分が誰の何に支えられているか、自分が誰かを支えているか、気を付けていると案外支援のネタは転がっているはずだ。