漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

折々の言葉

■今の子(という括りもずいぶん乱暴だが)を黙らせるのはそう難しくない。何があっても「ウザい」「キモい」「ウザい」「キモい」と呪文のように繰り返していれば、てきめんに黙る。下手をすると永遠に黙る。「ウザい」としきりに口にする子は、そう言われることを恐れている。「キモい」を乱発する子は、そう言われることを恐れている。つまり先に言うことが肝要で、先んじてしまえば、なぜだか彼らはこれらの言葉に抗えない。そうやって一方的に相手を"断罪"する言葉は折々にあって、例えば「ネクラ」だったり「自己批判」だったり「非国民」だったりしたのだろう。通信を作りながらそういう話を山田とする。

■かかる下らない事態を避けるには、その言葉または類する言葉を排するのが早い。しかしそれは対処療法でしかなくて、互いの関係の中で言葉の意味を作り変えてしまうのがもう一方の道だ。言葉は関係によって意味が変わる。関係を無視して言葉を広めるとロクなことにならない。しかしまた「関係を作る」というのが難問で、こっちが出来たと思っても向こうに用意がなかったり、その逆もあったりで、一朝一夕にはいかない。そのくせ会話は必要以上に交わすから、トラブルの種はあっちこっちに転がっている。デコボコを乗り越えながら、とにかく、こつこつやるしかない。時間がかかるが、きっとそういうもんなのだ。少なくとも一方的ではない。

■ところで37歳は「ウザい」「キモい」では余り傷つかない(傷つくやつもいるかもしれないが、そいつは多分これらの言葉を多用している)。厭な気はするが、全面的に否定された感じはない。「ネクラ」もやや時期を外している気がする。ロストジェネレーションは悪口もロストなのか。だとすれば幸せなことだけども。

■古本屋で『アイデン&ティティ』の文庫版を買う。主人公の前にボブ・ディランとジョン&ヨーコの幻影が現れる。そういや今日はジョン・レノンの命日じゃないか。解説をYO-KINGが書いている。拝啓、ジョン・レノン