漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

そう簡単じゃないぜ

水カンリンバ

■昨日、ezorockの宮本さんに教えてもらって、子供と2人で「水カンリンバ」という楽器を作った(写真)。水の入った空き缶を数個つなげ、端の缶は底を切って鍵盤にし、傾けたり鍵盤を弾いたりして演奏する。コポコポと水が湧き出るような音に、カリンバのような鍵盤の音色が交じって、爽やかなような歯がゆいような、ちょっと独特な音がする。自分にスキルがなくても、誰か他の人にやってもらえるのが寄り合い所帯のいいところだ。

石狩市議会が、メンタルフレンド制度の全国実施を求める意見書を国に提出した。児相やうちのような民間団体でも手がけているが、如何せん数が足りない。需要はあるはずで、この動きは評価するが、懸念もある。

■ひとつは、昨日の日誌で山田が指摘した研修の問題。各自治体のサイトなどを見る限り、事前研修をしっかり行える人材はそんなにいないと推察される。事前研修に留まらない。訪問が始まってからも定期的または即時的にサポートしていく必要があって、むしろこっちの方が重要だ。訪問は案外行く方にも負担だったりするのだ。そのための人員、またはスキルがあるか。

■また、メンタルフレンドは時として長期化する。意見書には「教員志望の学生等を家庭や学校に派遣」とあるが、3年4年と続く場合を想定してるだろうか。半年やそこらで来なくなるならかえって害ということもある。「漂流教室」では、少なくとも1年以上は続けられることをボランティアスタッフの条件にしている。それだって1年で収まることは稀で、たいてい2年は続く。

■そして、最も大事な点だが、もしメンタルフレンドを不登校対策の特効薬のように考えてこの意見書を出したのなら、それは間違いだ。訪問という形のサポートを希望する、またはその形が合う子供がいるというだけであって、訪問自体に特別な効果があるわけではない。ここを取り違えると、とにかく何でもいいから訪問訪問ということになって、かえって子供を追いつめかねない。相手本位は支援の基本だ。

■で、こういうことを制度に盛り込むにはどうすりゃいいんだ。うちに参考意見を聞きに来させるくらいじゃなきゃダメだよな。アピール不足は否めない。