漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

子供と社会と社会と大人と

■マンガを二冊買った。『よつばと!』14巻と『そのたくさんが愛のなか。』3巻。

よつばと!(14) (電撃コミックス)

よつばと!(14) (電撃コミックス)

■『よつばと!』はあさぎにドレスをつくってもらうところが面白い。お姫さまの話をしていたのに、取り出したのはゴミ袋。「はい、これが材料です」「? ごみぶくろだよ?」「ゴミ袋です」。5、6巻くらいのよつばなら、「なに、なにつくるの!?」とか「なんだそれ。あははは」とか言っていたと思うんだけど、あきらかに今回はとまどっている。お姫さまは素敵で、ゴミ袋はきたない。よつばのなかでもう「お姫さま」と「ゴミ袋」は両立しない。奔放なようで「ふつう」の価値観が育っている。

■だからこそ、ゴミ袋がドレスになったときに嬉しさが倍増するんだけどね。というところでハッとして確認したら、よつばが読んでいる絵本は『シンデレラ』じゃないか。

■もうひとつ。満員電車で押しつぶされそうになったよつばの、「これがただしいの?! ただしいことなの!?」というセリフ。覚えている限り、これまでよつばが「ただしい」という言葉を使ったことはなかったんじゃないかな。「へんなの」はあったけれども。「変」と「正しい」は似ているようで違って、「変」が主観を残すのに対し「正しい」は共通の基準を前提にする。

■ということで、いつのまにか社会化されてきたよつばを発見した巻でした。よつばの言動に固まる周囲の人たちという構図が多かったのは、よつばが「大人の言葉」を獲得しつつあるからなんじゃないかな。

■そして『そのたくさんが愛のなか。』では50代のおっさんたちが、身にまとった「社会」の殻を脱ぎ捨てようとドタバタしている。「ここまできて今さら赤信号を渡るようなマネしてどうするっ!?」「だが…定年過ぎたら青信号が増えるワケでもねえやな」