漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

星槎教育研究所 発達障害理解啓発セミナー

■日ごろ連携をしている星槎国際高校が持つ、星槎教育研究所は発達障害を持つ人への教育について調査・研究をしている。今回はそこが主催したセミナーで、北海道立特別支援教育センター所長の百井悦子さんの講演と道内の教育機関の簡単な実践報告と個別相談会が行われた。
■百井さんの講演は五十分という時間ながら、特別支援教育のこれまでの経緯と課題をざっと眺めることのできるものだった。モデル事業のスタートから考えると平成十五年から特別支援教育はスタートしていて、学校内に委員会とコーディネーターを用意し、実態把握するという形の部分はほぼ完成している。問題はその後で、個別指導計画、教育支援計画を立てるという肝心要の部分の整備状況は、小中学校で五〜六割、幼稚園・高校ではかなり低いという統計を見せてくれた。自分の体験からすると、小中学校でももっと低い感じがあるのだけど、頑張っている人は多いということだろう。システムとしてここを完成させるためには、個々人の努力を後押しする教育委員会等行政からのバックアップが絶対必要なはずだ。
■また、現場の視点として持っていたいことの再確認もできた。「健康」は生活機能が高い水準にあることであって、病気や障害の程度で決まるのではないという障害観(ICFモデル)だ。ここから考えると、当事者は発達障害に困っているのではなく、できないことや生きづらいことがあることに困っているということにすっとつながる。生活、人生、社会にどのように自己を関わらせるかが、「健康」ということを考えるにあたって重要だ。
■講演の後の個別相談会は、以前からうちを知っていた方や学生で活動に興味をもってくれた方などと話すことができた。いくらかでもお役に立てていれば幸い。