■さいわい車は無事に直った。しかし今年はよくモノが壊れた。車の修理は二回目だし、ほかにパソコンにスマホ。あ、財布も破れたんで買い換えたんだった。
■トラブルがあると「なじみ」の大切さがわかる。壊れるまでつかってしまうのは、横着なせいもあるが、気になったときにサッと見てもらえるなじみの店がないからでもある。今回の車の件だって、異音に気づいた時点で見てもらえばもっと簡単に済んだ。工場を探すところから始めなきゃならないのが面倒で後回しにしているうちに決定的なダメージを負った。
■なじみをつくるにはそれだけ通わなくちゃダメで、要はお金がかかる。目の前の出費を惜しんで大きな額を払うはめになる。病気でもおなじことがいえる。単に通うだけではダメで、いろいろ相談したり反対にこちらが融通したり、人間関係も必要になる。そういう面倒を避けてもサービスを受けられるよういろんな仕組みができたわけだが、根っこのところは変わらないらしい。というか、その日暮らしであくせく生活するのを「便利」と言い換えただけなんじゃないか。それに慣れて、なじみをつくるコストをかけられなくなった。かくて余裕のある人はさらに余裕を、ない人はより綱渡りな生活を送る。
■なので、履歴書が不要だったり空き時間で働けたり退職手続きの代行をしてくれたりするサービスは、便利だけれどきっと余裕も消すのだろう。自分が「タイパ」を求めるように、相手も自分に時間当たりの最大効果を要求する。こうして人は走らされる。
■貧乏暇なしとはよく言ったものだ。貧乏は急にはどうしようもないので、来年はせめて便利じゃない生活を送ろう。そういう意味では漂着教室のペレットストーブはなかなかいい。火を点けるまでに時間がかかる。